スタジオジブリ もののけ姫 全セリフ

  1. 2010/03/19(金) 03:01:55|
  2. ジブリ|
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スタジオジブリ もののけ姫 全セリフ

「生きろ!」その言葉が意味するものは重い…。
命と命が対立するとき、戦うしか道はないのだろうか。
古きモノと新しきモノも、人と獣も、生と死も…。



「むかしこの国は深い森におおわれそこには太古からのかみがみがすんでいた」

アシタカ「ヤックル」
アシタカ「ちょうど良かった。ヒイさまがみな村へもどれと。じいじもそう言うの」
女の子A「山がおかしいって。鳥たちがいないの」
女の子B「ケモノたちも」
アシタカ「そうかじいじの所へ行ってみよう。みんなは早くもどりなさい」
女の子たち「ハイッ」
アシタカ「なにか来る。じいじなんだろう」
じいじ「わからぬ。人ではない」
アシタカ「みなを呼びもどしている。村のほうはヒイさまが」
じいじ「来おった。タタリ神だ!」
アシタカ「タタリ神?!」
タタリ神「ぐぇぇぇぇぇl!」
アシタカ「ヤックル!逃げろ!」
じいじ「うわっ!」
アシタカ「くっ」
アシタカ「おそう気だ!」
じいじ「アシタカ!タタリ神に手をだずな!呪いをもらうぞ!」
アシタカ「しずまりたまえ!」
タタリ神「さぞかし名のある山の主と見うけたがなぜ。そのようにあらぶるのか?」
女の子たち「おばけ。村へ!」
タタリ神「止まれェ!なぜわが村をおそう」
アシタカ「やめろ!しずまれ」
女の子A「アッ!」
女の子B「しっかり!」
アシタカ「早く!」
タタリ神「ぎぇぇぇぇぇ!」
アシタカ「くっ!」
町の人たち「たおした!火をたやすな。ヒイさまを早く」
アシタカ「くっ!」
女の子「兄さま!兄さま」
アシタカ「カヤふれるな。ただ傷のではない」
町の人A「アシタカが手傷をおった!」
町の人B「ヒイさまは?」
ヒイさま「みな!それ以上近づいてはならめぞ!」
町の人C「ヒイさま!」
ヒイさま「この水をゆっくりかけでおやり」
ヒイさま「いずこよりいましあらぶる神とは存ぜぬもかしこみかしこみ申す。この地に塚を築きあなたのみたまをお祭りします。うらみを忘れしずまりたまえ」
タタリ神「けがらわしい人間どもよ。わが苦しみと憎しみをるがいい…」
ヒイさま「さて困ったことになった。かのシシははるか西の土地からやって来た。深傷の毒に気ふれ身体はくさり走り来る内に呪いを集めタタリ神になってしまったのだ。アシタカヒコやみなに右腕を見せなさい」
アシタカ「はい」
町の人たち「おお-」
ヒイさま「アシタカヒコやそなたには自分の運命を見すえる覚悟があるかい」
アシタカ「タタリ神に矢を射るとき心を決めました」
ヒイさま「そのアザはやがて骨までとどいてそなたを殺すだろう」
町の人1「なんとかなりませぬかヒイさま」
町の人2「アシタカは村を守り!」
ほかの町の人「乙女らを守ったのですぞ。ただ死を待つしかないというのは…」
ヒイさま「誰にも運命はかえられないだが、ただ待つかみずからおもむくかは決められる。見なさい。あのシシの身体にくいこんでいたものだよ。骨をくだきはらわたをひきさきむごい苦しみをあたえたのだ。さもなくばシシがタタリ神どになろうか…西の土地でなにか不吉なことがおこっているのだよ。その地におもむきくもりない眼で物事を見定めるならあるいはその呪いを断つ道が見つかるかもしれぬ。大和との戦さにやぶれこの地にひそんでから五百ゆう余年いまや大和の王の力はなく、将軍どもの牙も折れたときく。だが我が一族の血もまたおとろえたこのときに一族の長となるべき若者が西へ旅立つのは定めかもしれぬ」
アシタカ「…」
ヒイさま「掟に従)い見送らぬ健やかにあれ」
女の子「兄さま!」
アシタカ「カヤ!」
アシタカ「見送りはじられているのに」
女の子「おしおきはうけます。どうかこれを。私のかわりにお伴させてください」
アシタカ「これは?大切な玉の小刀じゃないか」
女の子「お守りするよう息を吹きこめました。いつもいつもカヤは兄さまを思っています」
アシタカ「わたしもだ。いつもカヤを思おう」

アシタカ「戦さ?!」
サムライ1「まわりこめ!」
アシタカ「カブトクビだ!」
アシタカ「ハッ!もどれ-っしょうぶしょうぶ!」
アシタカ「やめろ-っ!なにっ?!」
サムライ2「うわっ!」
アシタカ「なんだこの腕は?!」
サムライたち「逃がさぬぞ!見参!」
アシタカ「押しとおる!邪魔するな!」
サムライ3「鬼だ…」

アシタカ「アザが濃くなっている…」
ジコ坊の友人「なんとも白湯みたいなめしだな」
ジコ坊「おっ!」
ある町の人「いた!いた!」
ジコ坊の友人「へへっ」
エボシ「なんだいこりゃ?おアシじゃないじゃないか」
ジコ坊「まてまて拙僧がみてやろう。これは砂金の大粒だぞ!」
エボシ「ゼニがいいなら代金はワシが払(はら)おう。そのかわりこれをゆずってくれ!」
ジコ坊「みなの衆!この近くに両替屋はおらんかの?」

ジコ坊「お〜い!そういそがれるな。いや礼などと申す気はない。礼を言いたいのは拙僧のほうでな。田舎侍の小ぜりあいにまきこまれた折をそなたのおかげで助かったのだ。鬼神のごときとは正にあれだな」
ある町の人たち「ホッホッ。気づいたか?人前で砂金など見せるとなァ。まことに人の心のすさむこと麻のごとしだ」
ジコ坊「寝こみをおそわれてもつまらぬ。走るか!?」
ある町の人たち「チッ!くそっ」

ジコ坊「イノシシがタタリ神になったか…」
アシタカ「足跡をたどって来たのですが里におりたとたんわからなくなりました」
ジコ坊「そりゃそうだろう。そこらを見なさい。この前来たときはここにもそれなりの村があった」
のだが洪水か地すべりか…さぞたくさん死んだろうに戦さ、行きだおれ病に、飢え。人界はうらみ」
をのんで死んだ亡者でひしめいとる。タタリというならこの世はタタリそのもの」
アシタカ「里へおりたのはまちがいでした人をふたりもあやめてしまった」
ジコ坊「人はいずれ死ぬ。おそいか早いかだけだ。おかげで拙僧は助かった。椀をだしなさい」
ホウ、みやびな椀だな。そなたを見ていると古い書に伝わる、いにしえの民を思いだす。東の果てに」
アカシシにまたがり石のヤジリを使う勇壮なるエミシの一族なりとな…かんじんなこと」
は死にくわれぬことだ!」
アシタカ「このようなものを見たことはありませんか」
ジコ坊「これは?」
アシタカ「イノシシの身体からでてきました。巨大なイノシシにひん死の傷をあたえたものです」
ジコ坊「これよりさらに西へ西へと進むと山の奥のまた山奥に人をよせつけぬ深い森がある。シシ神の森だ。そこではケモノはみな大きく太古のままに生きているときいた」
アシタカ「…」」
ジコ坊「やはり行くか…」

エボシ「みなあとわずかだ。油断す。ましぞ!」
町の人1「でたぞ!犬神だ!」
町の人2「あせらずに陳をくめ!」
町の人3「せいて火薬をめらすな!」
町の人2「モロ!来い!」
モロ「ググッ」

町の人3「やりました!」
エボシ「きやつは不死身だ。このくらいでは死なん!」
町の人3「すぐ出発しよう。隊列をくみなおせ」

甲六「ううっ…」
アシタカ「!」
アシタカ「しっかりしろ!」
アシタカ「!」

アシタカ「わが名はアシタカ。東の果てよりこの地へ来た。そなたたちはシシ神の森にすむときく古い神か?!」

サン「去れ!」
アシタカ「!」
甲六「あわわわわ…」
アシタカ「コダマ?!ここにもコダマがいるのか」
アシタカ「しずかに!動くと傷にさわるぞ。すきにさせておけば悪さはしない。森が豊かなしるしだ!」
アシタカ「こいつらはシシ神を呼ぶんだ。大きな山犬か?」
甲六「ちがう!もっとおっかねぇ化物の親玉だ。危険なものは近くにいない」
アシタカ「すまぬがそなたたちの森をとおらせてもらうぞ」

甲六「おねげぇです。もどりましょうよ。むこう岸なら道がありやす」
アシタカ「この森をぬけるなんてムチャだ。流れが強すぎて渡れない。それにこのケガ人は早くしないと手おくれになるぞ。道案内をしてくれてるのか。迷いこませる気なのか」
甲六「ダンナ〜こいつらワシらを帰(かえ)さねぇ気なんですよ」
アシタカ「どんどんふえてやすぜ。これがおまえたちの母親か。リッパな樹だ」
病者「ふふっ」
アシタカ「(!?)あの少女と山犬の足跡だ!ここは彼らのナウバリか…」
甲六「ダンナ…こんどこそヤバイですよ。ここはあの世の入り口だ!」
アシタカ「そうだな。ちょっと休もう」
アシタカ「足跡…?!ひずめが三つ…まだ新しい」
アシタカ「うっ!」
甲六「だ、ダンナ!どうしたんで」
アシタカ「くっ!ハァハァ」
甲六「ダンナ、すげえタタラについた!まるで城だな。エボシさまの大タタラでさ。砂鉄(てつ)をわかして鉄をつくってるんです。
町の人「森から人が来る」
町の人「もののけか?」
甲六「おれだ〜牛飼(うしか)いの甲六だ〜」
町の人「なにィ甲六ガ…」
町の人「カカァにしらせろ」
町の人「うそじゃねぇ!いま舟でこっちに来る」
ゴンザ「何事か!?おれが字を書いてるときはしずかにしろ!」
町の人「死んだはずの甲六がむこう岸にでたんでさぁ」
町の人「幽霊じゃねぇな」
町の人「他のヤツはどうした」
町の人「おいっ」
町の人「助けられたのはおれたちだけだ」
甲六「石火矢の衆よ。このダンナがずっとおぶってくださったんだ。礼(れい)を言っとけ」
町の人「さま、あの頭巾の者は何者でしょう?見なれぬ姿だな」
ゴンザ「そこの者、まて!ケガ人をとどけてくれたことまず礼を言う。だが得心がいかぬ。われらがここへついて半刻もせぬうちにおまえは来た。しかも谷底から大の大人をかつぎシシ神の森をぬけてだと…」
トキ「甲六〜生きとったんか〜。牛飼いが足をくじいてどうやっておマンマくってくんだよ」
甲六「んなこと言ったってよ」
ゴンザ「心配ばかりかけやがって」
トキ「いっそ山犬にくわれちまえばよかったんだ。そうすりゃあたしはもっといい男を見つけてやる」
甲六「おトキ〜カソニソしてくれよ〜」
ゴンザ「トキ〜夫婦ゲンカはよそでやらんかい」
トキ「なにさ。えらそうに。なんのための護衛なのさ。ふだんタタラのひとつもふまないんだ」
ゴンザ「いざというときは生命をはりやがれ」
トキ「しかたがなかろう…。ありがとあんな亭主でも助けてくれてうれしいよ」
アシタカ「よかった。つれて来てはいけなかったのかと心配してしまった」
エボシ「ゴンザッ!あとで礼を言いたい。客人を案内しなさい」
町の人たち「エボシさま」
エボシ「甲六、よく帰って来てくれた。すまなかったな。トキも堪忍(かんにん)しておくれ。わたしがついていたのにザマァなかった」
トキ「いいえ。男たちだけだったら今頃みんな仲良く山犬の腹の中ですよ」
エボシ「旅のおかたゆるりと休まれよ」
アシタカ「す…」
トキ「あらっ、いい男じゃない!」

町の人たち「そ-れ」
町の人「モロをやっつけて運んだ米だ!ありがたくうえよ!」
町の女「どこどこ?」
町の女「え?あの人?」
町の女「ほんとトキの言ったとおりじゃん」
町の女「いい男ね〜」
町の女「ちょっと若すぎない?」
町の人「しずかにしねぇか。通夜をやってるんだぞ」
町の女「ネィ、旅のおかたあたいたちの所へきな」
町の女「こんなクサイ小屋はやめてさ」
町の人「てやんでェ。おれたちが生命がけで運んだをくらってよ」
町の女「その米を買う鉄(てつ)はだれがつくってるのさ。あたいたちは夜っぴいてタタラをふんでるんだ」
アシタカ「よかったらあなたたちのはたらく所を見せてください」
町の女「おしろいぬってタタラを」
町の女「紅(べに)もさす?」
町の女「きっとだよ-」
町の女「まってるからね〜」
甲六「ダンナ気をわるくしねぇでください」
町の人「エボシさまが甘やかしすぎるんで」
アシタカ「いい村は女が元気だと聞いています」
町の人「でもなぁタタラ場に女がいるなんてなぁ。ふつうは鉄を汚すってそりゃ〜〜いやがるもんだ」
甲六「おっ!はじめやがった。エボシさまときたら売(う)られた娘を見るとみんなひきとっちまうんだ。そのくせ掟もタタリもヘッチャラなコワイ人だよ」
町の人「そうそう。ナゴの守(かみ)をやったときなんか見せたかったぜ」
アシタカ「ナゴの守?!」
町の人「すげえでかいイノシシでよ。このあたりのヌシだったのよ。でよ、だれも山に近よれねぇ。お宝の山を見ながら人間様(さま)はをくわえてたのよ」
町の人たち「ハハハ!」
町の人「この下じゃ砂鉄(さてつ)をとりつくしちまったからな」
アシタカ「何人ものタタラ師がここをねらってよ。みんなやられちまったんだ。おれたちの稼業は山をけずるし木を切るからな。山の主が怒ったてな。そこへエボシさまが石火矢衆(いしびやしゅう)をつれてあらわれたってわけだ」
町の人「ダンナ、どうしたんで?」
アシタカ「そのイノシシのことを考えていた。いずくで果てたかさぞ。うらみは深かろう」

エボシ「アシタカとやらまたしてすまぬな。あすのおくりのしたくに手間どってね。いい鋼(はがね)だ」
エボシ「ちょっと休もう。そなたを侍どもか、もののけの手先とうたがう者(もの)がいるのだ。このタタラ場を狙う者がたくさんいてね。旅のわけを聞かせてけれぬか」

アシタカ「このつぶてにおぼえがあるはず。巨大なイノシシ神の骨をくだき肉を腐らせタタリ神にしたつぶてです。このアザはそのイノシシにとどめをさしたときにうけたもの死にいたる呪いです」
エボシ「そなたの国は?見なれぬシシに乗(の)っていたな」
アシタカ「東と北のあいだより…それ以上は言えない」
ゴンザ「正直にこたえぬとたたっきるぞ!」
エボシ「そのつぶての秘密を調べてなんとする」
アシタカ「くもりなきまなこでものごとを見定(みさだ)め、決める」
エボシ「フフア-ッハハハハハハハわかった。わたしの秘密を見せよう。来なさい。ゴンザ!あとをたのむよ」

エボシ「ここはみなおそれて近よらぬ。わたしの庭だ。秘密をしりたければ来なさい」
働いてる人「ちょうどくみあがったところですよ」
エボシ「まだちょっとおもいな」
はたらく人「あまりけずると銅金がはじけます」
エボシ「わたしだけが使うのではない。ここの女たちにもたせるのだ。ホホホさぞ見ものでしょうね。この者たちが考案した新しい石火矢(いしびや)だ。明国(みんこく)のものはおもくて使いにくい。この石火矢なら化物(ばけもの)も侍(さむらい)のヨロイもうちくだけよう」
はたらく人たち「コワヤコワヤエボシさまは国くずしをなさる気だ」
エボシ「いそがせてすまぬな。あとで酒などとどけよう」
アシタカ「あなたは山の犬の森をうばいタタリ神にしてもあきたらずその石火矢でさらに新(あら)たなうらみと呪いを生みだそうというのか?!
エボシ「そなたには気の毒だった。あのつぶて、たしかにわたしのはなったものおろかなイノシシめ。呪うならわたしを呪えばいいものを」

エボシ「その右腕はわたしを殺そうとしているのか」
アシタカ「呪いが消えるものならわたしもそうしよう。だがこの右腕はそれだけではとまらぬ。ここの者すべてを殺すまでしずまらぬか」
はたらく人「エボシさまその若者の力あなどってはなりません」
はたらく人「長(おさ)!お若いかた、わたしも呪われた身ゆえ。あなたの怒りや悲しみはよくわかる。わかるが、どうかその人を殺さないでおくれ。その人はわしらを人としてあつかってくださったたったひとりの人だ。わしらの病(やまい)をおそれずわしのくさった肉を洗い布(ぬの)をまいてくれた。生きることはまことに苦しくつらい…世(よ)を呪い人を呪いそれでも生きたい…どうかおろかなわしにめんじて…」

エボシ「また来ていたか。夜になるとああしてもどってくるのだ。山をとりもどそうと木を植(う)えにくる。アシタカ、ここにとどまり力をつくさぬか」
アシタカ「あなたはシシ神の森までうばうつもりか?!」
エボシ「森に光が入り山犬どもがしずまればここは豊かな国になる。古い神がいなくなればもののけたちもただのケモノになろう。さすればもののけ姫も人間にもどろう」
アシタカ「もののけ姫…」
エボシ「山犬に心をうばわれたあわれな娘だ。わたしを殺そうとねらいつづけている。シシ神の血はあらゆる病をいやすと聞く。そなたのアザを消す力もあるかもしれぬぞ!」
はたらく人たち「エボシさま、首尾(しょび)はいかがでしょうや?」
エボシ「上出来(じょうでき)だ。正(まさ)に国くずしにふさわしいが…やはりちょっとおもいな」

町の女「あらっ?!あんた」
アシタカ「おトキさん、わたしもふませてくれ。かわってくれないか。せっかくだからかわってもらいな」
町の女たち「すごい力!」
トキ「ねっイイ男だろう。そんなにリキむとつづかないよ。旅人(たびびと)さん」
アシタカ「きびしい仕事だな」
町の女「そりゃそうさ」
トキ「四日五晩(よっかいつばん)ふみめくんだ」
アシタカ「ここのくらしはつらいか?」
トキ「そりゃあさ…でも下界(げかい)にくらべりゃずっといいよ」
町の女たち「お腹いっぱい食べられるし。男がいばらないしさ」

山犬「ウ〜〜ッグルルル」

町の女たち「あした行っちゃうの?もっといればいいのに」
アシタカ「ありがとう、でもどうしても会(あ)わなければならない者がいるんです」
町の女「ここではたらきなよ」

アシタカ「ハッ」

アシタカ「来る!」
ある町の人「もののけ姫だ!」

ある町の人「うわっ!くっ。うわっ〜」
アシタカ「!」

町の人たち「姫だ〜!」
アシタカ「やめろ!」
アシタカ「くっ!」
アシタカ「そなたと戦(たたか)いたくない!」
町の人「入ったのは姫ひとりだ」
町の人「御殿のほうへ行くぞ!」
ゴンザ「かがり火をふやせ。石火矢衆は柵(さく)をかためろ」
町の人「もち場(ば)をはなれるな」
町の女「この屋根(やね)のにいるらしいよ」
トキ「さわぐんじゃない。休まずふみな!火をおとすととりかえしがつかないよ」
エボシ「ひとりか?」
ゴンザ「はっ、よほど追いつめられたと見えます。エボシさまをねらってのことでしょう」
エボシ「しかたがない。来なさい」

エボシ「もののけ姫!きこえるか。わたしはここにいるぞ。おまえが一族の仇をうとうというならこちらにも山犬にくい殺された夫(おっと)の無念をはらそうと心に決めた者たちがいる。でておいて。今夜こそケリをつけてやる」
町の人たち「出た〜いたぞ〜!」
アシタカ「(バカな…?!)」
町の人たち「前をあけろ!流れ弾にあたるぞ!」
アシタカ「罠(わな)だ!(…)やめろ-!」

アシタカ「山犬の姫、森へ帰(かえ)れ!みすみす死ぬなしりぞくも勇気だ!」
ゴンザ「やはりあいつ!」
エボシ「すきなようにさせておけ」

アシタカ「くっ!

ゴンザ「やった〜!おちるぞ!」
町の女「動かない」
町の人「首だけになってもくらいつくのが山犬だ!」
エボシ「おちた所をねらいな!」
サン「ううっ…」
エボシ「はなて!」

ゴンザ「やった-」
アシタカ「うごくなー」
ゴンザ「あちち」
アシタカ「しっかりしろ!」
サン「ううっ」

アシタカ「やめろ〜!」
ゴンザ「なにっ!?」
サン「うおー」

サン「ぐああっ〜」
エボシ「袋(ふくろ)のネズミだ!逃がしちゃだめだよ」
町の人「ゴンザさまお気をたしかにっ」
ゴンザ「おれにかまうな!行け!」

ゴンザ「ウッ」
アシタカ「うめは…やはり…」
ゴンザ「もののけのたぐいかっ?!とまれぇっ!」
アシタカ「どいてくれ」

町の人「イテテてめぇなにするんでィ」
エボシ「なんのまねだアシタカ。この娘の生命わたしがもらう。その山犬を嫁(よめ)にでもする気か?!」
アシタカ「そなたの中には夜叉がいる」
エボシ「この娘の中にもだ」
エボシ「みんな見ろ。これが身の内に巣(す)くう憎(にく)しみと恨みの姿だ…肉をくさらせ死を呼びよせる呪いだ!これ以上憎しみに身をゆだねるな!」
エボシ「さかしらにわずかな不運を見せびらかすな」
サン「アアッうわっ」
エボシ「その右腕切りおとしてやろう!」

町の女「エボシさま!」
アシタカ「だれか手をかしてくれ。心配するな気がつく。この娘、わたしがもらいうける」
町の女「おまちっ!逃がしはしないよ!よくもエボシさまを…動くんじゃない!」
町の女「キヨ!やめな!」

町の女「あたったのに歩いとる…」
ゴンザ「おれの石火矢をもってこい!」
ある町の女「おトキ!早く!」
トキ「あんた?!」
門番1「だんな、ここは通れねぇ。ゆるしがなければ門はあけられねぇんだ。あなたは仲間を助けてくださった」
門番2「敵にしとうありませんどうかおもどりを」
アシタカ「わたしは自分でここへ来た。自分の足でここをでて行く」

町の人「だんな、いけねェ!死んじまう!」

町の人たち「動いた!すげぇー」
門番1「アア〜」

ゴンザ「どけ〜!山犬だー!」
アシタカ「やめろ!そなたたちの姫は無事だ!いまそっちへ行く!行こう、ヤックル。世話になった」
町の人「行ってしまわれた」

サン「おまち!わたしのエモノだよ。おまえ射たれたのか。死ぬのか。死の前に答えろ!なぜわたしの邪魔をした?」
アシタカ「そなたを死なせたくなかった」
サン「死などこわいもんか!人間を追い払(はら)うためなら生命などいらぬ!」
アシタカ「わかっている…最初に会ったときから」
サン「そのノド切りさいて。二度とムダ口がたたけぬようにしてやる!」
アシタカ「生きろ…」
サン「まだ言うか!人間の指図(さしず)はうけぬ!」
アシタカ「そなたは美しい…」
サン「!」
山犬「どうしたサン!オレがかみくだいてやろうか?」

サン「はっ。猩(しょう)猩たち…」
山犬「われらがモロの一族としっての無礼か?!」
猩たち「ここはわれらの森。その人間よこせ。人間よこしてさっさと行け」
山犬「うせろ!わが牙がとどかぬうちに!」
猩たち「オレたち人間くう。その人間くうその人間くわせろ」
サン「森の賢者とたたえられるあなたたちがなぜ人間などくおうというのか?」
猩たち「人間やっつける力ほしい、だからくう」
サン「人間を食べても人間の力は手に入らない。あなたたちの血がけがれるだけだ」
猩たち「木…うえた木…うえみんな人間め、森もどらない。人間殺したい」
サン「わたしたちにはシシ神さまがついてる。あきらめないで木をうえて…モロの一族はさいごまで戦う」
猩たち「シシ神さま戦わない。わしら死ぬ。山犬の姫、平気…人間だから…」
サン「!」
山犬「無礼なサルめっ!そのクビかみくだいてやる!」
サン「おやめっ!平気…気にしない…おまえたち先に帰りな。この人間のしまつはわたしがする」
山犬「あいつは?食べていい?」
サン「食べちゃダメ!」
サン「さあ、行きな!」

サン「おいで!仲なおりしよう!おまえの主人をはこぶから…力をかしておくれ」

サン「おいで…」

サン「おまえはかしこいね。この島にはのぼらないほうがいい…人間くさい。すきな所へ行き。すきに生きな」

ジコ坊「おお〜でたぁ。ディダラボッチだ!ついに見つけた。なにをしとる早く見んか!なんのためにこんなクサイ毛皮をかぶってたえてきたんじゃ」
狩人1「シシ神さまを見ると目がつぶれるワイ」
ジコ坊「それでもヌシは西国一の狩人か?この天朝(てんちょう)さまの書きつけをなんとこころえる。天朝さまがシシ神退治をみとめとるんだぞ!」
ジコ坊「ディダラボッチはシシ神の夜の姿だ。いまに夜から昼(ひる)の姿にかわるそこがシシ神のすみかだ。おおっ、消えるぞ。あそこだ!」


シシ神「…」

狩人1「ジコ坊さま」
ジコ坊「判っとる」
狩人1「あそこを」

ジコ坊「おお、これは?なんともおびただしい数(かず)だな。ありゃあこの森のもんじゃねぇ。それぞれいずくかの山の名のある主だ。むっ。あれは?鎮西(ちんぜい)の乙事主(おっことぬし)だっ!」
狩人1「鎮西?!海を渡って来たと言うのか?」
ジコ坊「まちがいねぇ。あの四本牙!一族をひきいて来やがったんだ!」
狩人1「ばれたっ!」
ジコ坊「ひきあげだ!いそげ!」
乙事主「ぶぎゃー」
イノシシたち「ピ-ギャ-ブヒ-ピギャー」

ジコ坊「早くしろ!」

アシタカ「うっう…ん、はっ!傷がない!
ヤックル「(スッ)」
アシタカ「ヤックル」

サン「目がさめてたらヤックルに礼を言いな。ずっとおまえを守っていたんだ」
アシタカ「どうしてヤックルの名を…」
サン「自分からいろいろ話してくれた。おまえのことも古里(ふるさと)の森のことも。シシ神さまがおまえを生かした。だから助ける」
アシタカ「ふしぎな夢を見た。金色の鹿だった…」
サン「食べろ」

サン「かめ!」
アシタカ「おまえ…」

イノシシ「われらは人間を殺し森を守るために来た…なぜここに人間がいる?!」
モロ「わたしの娘だ。人間などどこにでもいる。自分の山にもどりそこで殺せばいい」
イノシシ「シシ神の森を守るために殺すのだ!なぜ人間がここにいる…」
サン「この人間の傷をシシ神さまがいやした。だから殺さずにかえす」
イノシシたち「シシ神が人間を助けいやしただと!なぜナゴの守(かみ)を助けなかったのだ!シシ神は森の守り神ではないのか?!」
モロ「シシ神は生命をあたえもしうばいもする。そんなことも忘れてしまったのか、猪ども
イノシシたち「ちがう。山犬がシシ神をひとりじめしてるからだ。ナゴを助けず裏切ったからだ!」
モロ「きやつは死をおそれたのだ。いまのわたしのように。わたしの身体にも人間の毒つぶてが入っている。ナゴは逃げわたしは逃げずに自分の死を見つ
めている」
サン「モロだからシシ神さまに…」
モロ「サン!わたしはすでにじゅうぶんに生きた。シシ神は傷をなおさず生命をすいとるだろう」
サン「そんなはずはない!母さんはシシ神さまを守ってきた」
イノシシたち「だまされぬぞ!ナゴは美しく強い兄弟だ!山犬どもが食(く)っちまったんだ!」
サン「母さんをバカにするとゆるさんぞ」
アシタカ「あらぶる山のかみがみよ、きいてくれ!」

アシタカ「ナゴの守(かみ)にとどめをさしたのはわたしだ。村をおそったタタリ神をわたしはやむなく殺した。大きな猪神だった。これがあかしだ!あるいはこの呪いをシシ神がといてくれぬかとこの地へ来た。だが…シシ神は傷はいやしてもアザは消してくれなかった。呪いがわが身をくいつくすまで苦しみ生きろと…」
イノシシたち「乙事主だ…」
モロ「少しは話のわかるヤツが来た」
サン「待って、乙事主さま!」
乙事主「モロの娘だね。うわさはきいていたよ」
サン「あなた目が…」
アシタカ「山犬の姫かまわない。ナゴの守(かみ)のさいごを伝えたいから」

乙事主「ありがとうよ、お若いの…悲しいことだが一族からタタリ神がでてしまった…」
アシタカ「乙事主どのこのタタリを消す術はないのだろうか…」
乙事主「お若いの森を去れ次に会うときは殺さねばならぬ」
モロ「乙事主よ、数(かず)だけでは人間の石火矢には勝てぬぞ!」
乙事主「モロ、わしの一族を見ろ!みんな小さくバカになりつつある。このままではわしらはただの肉として人間に狩られるようになるだろう…」
モロ「気に入らぬ一度にケリをつけようなどと人間どもの思うつほだ!」
乙事主「山犬の力をかりよいとは思わぬ。たとえ…わが一族ことごとくほろぶとも人間に思いしらせてやる!」

サン「…シシ神さま…」

町の人「ドウドウ。牛をちらすな!」
侍たち「うわーッ」
エボシ「まだ撃つな。ひきよせろ!」
侍たち「うわー」
エボシ「はなてぇ!」

侍「ひいい…」
エボシ「弾込めいそげェ!」

ジコ坊「やれやれ。エボシのやつ相手がちがうだろうに。(…)おまえたちさきに行きひそんでおれ」

町の女「みえた!帰って来たよー」

ジコ坊「おかしら。苦労(くろう)をかけるな」
ジコ坊「そろそろ動く。みなにもそう伝えよ」
町の人「はっ」
ジコ坊「師匠連(ししょうれん)から矢(や)の催促だ田舎侍とあそんどるときではないぞ」
エボシ「アサノ公方(くほう)が地侍(じざむらい)どもをそそのかしてるのだ」
ジコ坊「アサノか…大侍だな」
エボシ「鉄を半分よこせと言ってきた」
ジコ坊「そりゃあごうつくだ」
エボシ「だがいまは人間とやりあうヒマはない」
ジコ坊「森に猪神があつまっておる…じきに来るぞ!この際、鉄など全部くれてやれ。師匠連への約束をはたしてから戦さでもなんでもやればよかろう」

町の女「エボシさまーお早くー侍が来ます。早くー」
ジコ坊「うわさをすれば…あれはアサノの使者だな」
エボシ「使者だ。丁重(ていちょう)にもてなしなさい!」
町の女たち「ハーイ!」
ジコ坊「おい、会わんのか!?」
使者「タタラバ、エボシとやら、さきほどの地侍あいての戦さみごとなり!われらは公方さまの使者としてまいった。かいこまって門をひらけい!」
町の女たち「フン。用があるならそこで言いな!この山はエボシさまがもののけから切りとったんだ。金になるとわかって手のばしやがって!とっとと帰れ!」
使者「女ども使者への無礼ゆるさんぞ!」
町の女たち「無礼だってさ。こっちは生まれたときからズーッと無礼だい」
ある町の女「鉄がほしけりゃくれてやるよ!」

使者「!」
町の女たち「アハハハハハッ」
ジコ坊「いやぁまいった。まいった。大侍ももののけも眼中になしか。エボシタタラの女たちのいさましいことよ」
エボシ「こんな紙きれが役に立つのか?」
ジコ坊「まあいろんな輩(やから)をあつめるにはききめがある!」
エボシ「けものとはいえなにしろ。神を殺すのだ」

エボシ「そなたたち、この書きつけがわかるか?」
町の女「はい、エボシさま」
エボシ「天朝さまのだ」
町の女「天朝さまって?」
エボシ「みかどだ」
町の女「みかど…」

ジコ坊「いやぁまいった。まいった」
エボシ「いいよ…」
町の女「はい」
エボシ「わたしたちがここで鉄をつくりつづければ森の力は弱まる。それからのほうが犠牲もすくなくすむが…」
ジコ坊「金も時間もじゅうぶんにつぎこんだ石火矢衆四十名をかしあたえたのは鉄をつくるためではないぞ…とまあ師匠連は言うだろうなあ」
エボシ「まさかそなたまでシシ神の生首に不死不老の力があると思ってはいまいな」
ジコ坊「やんごとなき方々の考えはワシにはわからん」

エボシ「約束は守る。モロ一族のかわりに猪の群れが森にひしめくならかえってやりやすかろう。崖の裏にひそんでいるあやしげな手下どもをよびよせるがいい」
ジコ坊「いやぁハハハ…ばれてたか。あっ、そうだ!もうひとつ」

ジコ坊「少年がひとりたずねて来なかったか?アカシシに乗ったふしぎな少年だが…」
エボシ「去った…」

町の女「なんか気味が悪いよ」
甲六「ありゃあただの狩人じゃねぇジバシリダだ」
町の人「ジバシリ…?」
町の女「わたしたちもおともさせてください!」
町の女「あんな連中を信用しちゃダメです!」
町の女「エボシさまになんかあったらとりかえしがつかないもの」
町の女「せっかく石火矢をおぼえたんだから…」
エボシ「だからこそみんなにここを守ってもらいたいのさ。こわいのはもののけより人間のほうだからね。シシ神殺しがすんだらいろいろわかるだろうよ。唐傘連の師匠たちがシシ神の首だけでここから手をひくもんかね…侍だけじゃないよ。石火矢衆が敵となるかもしれないんだ。男はたよりにできない。しっかりやりな、みんな」

ゴンザ「エボシさまのことは案ずるな!このゴンザ、かならずお守りする」
トキ「それがホントならねぇ…」
ゴンザ「なにい!」
トキ「あんたも女だったらよかったのさ。んべ〜〜ッ」
ゴンザ「う…」
エボシ「ハハハハハハハ…」
トキ「くくっ」

アシタカ「くっ…」

サン「…」
アシタカ「!」
アシタカ「ぐっ」

アシタカ「…」
モロ「つらいか…そこからとびおりればかんたんにけりがつうぞ。体力がもどればアザもあばれだす」
アシタカ「わたしは何日もねむっていたようだな。夢うつつにあの子に世話になったのをおぼえている」
モロ「おまえがひと声(こえ)でもうめき声をあげればかみ殺してやったものを…惜しいことをした」
アシタカ「美しい森だ。乙事主はまだ動いていないのか…」
モロ「穴にもどれ小僧!おまえには聞こえまい。猪どもに喰い荒される森の悲鳴が…わたしはここでくちていく身体と森の悲鳴に耳をかたむけながらあの女を待っている。…あいつの頭をかみくだく瞬間を夢見ながら…」
アシタカ「モロ…森と人間が争(あらそ)わずにすむ道はないのか?ほんとにもうとめられないのか?」
モロ「人間どもがあつまっている、きゃつらの火がじきにここにとどくだろう」
アシタカ「サンをどうする気だ。あの子も道づれにするつもりか!?」
モロ「いかにも人間らしい手前勝手(てまえがって)な考えだな。サンはわが一族の娘だ。森と生き森が死ぬときはともにほろびる」
アシタカ「あの子を解きはなて!あの子は人間だぞ!」
モロ「だまれ、小僧!おまえにあの娘の不幸がいやせるのか。森をおかした人間がわが牙をのがれるためになげてよこした赤子がサンだ…!人間にもなれず山犬にもなりきれぬ哀れで醜い可愛い我が娘だ!おまえにサンをすくえるか!?」
アシタカ「わからぬ…だが共に生きることはできる!」
モロ「ファッファッどうやって生きるのだ。サンと共に人間と戦うというのか」
アシタカ「ちがう!それでは憎しみをふやすだけだ」
モロ「小僧…もうおまえにできることはなにもない。おまえはじきにアザに喰い殺される身だ。夜明けとともにここを立ち去れ!」

サン「…歩けたか?」
アシタカ「ありがとう。サンとシシ神さまのおかげだ」
サン「…」

アシタカ「ヤックル!心配かけたな。

アシタカ「う…!?痛…足がすっかりなまってしまった」

アシタカ「しずかすぎる。コダマたちもいない…」

アシタカ「タタラ場のにおいがかすかに風にまじっている。案内ごくろう!ひとつたのみがある…サンにこれをわたしてくれ!いこう…」

サン「ひどいにおい…鼻がもげそう」
モロ「ただの煙じゃない。わたしたちの鼻をきかなくしようとしているのさ」
サン「…あの女がいる!こっちに気づいている…」
モロ「みえすいた罠をはったものだ」
サン「わな…?」
モロ「猪どもをいきりたたせて森からおびきだそうとしているのだよ。よほどのしかけがあるのだろう」
サン「おしえなきゃ!猪たちは動きはじめてる。みんなやられてしまう」
モロ「乙事主とてばかではない…すべてわかっていても猪たちは正面から攻撃したいのさ…最後の一頭になっても突進してふみ破る!」
サン「木をきりはじめた…」
モロ「あれもさそいだ」

サン「かあさん、ここでお別れです。わたし乙事主さまの目になりにいきます。あの煙にこまっているはずだから。
モロ「それでいいよ…おまえにはあの若者と生きる道もあるのだが…」
サン「人間はきらい!」

サン「アシタカがわたしに…綺麗」
モロ「おまえたちはサンとおいき!わたしはシシ神のそばにいよう」
サン「いこう!」

サン「モロ一族もともにたたかう!乙事主さまはどこか!?ありがとう!」

アシタカ「タタラ場からだ!」

アシタカ「いこう!」
侍「何者かぁ!?」
アシタカ「侍だ!」
侍「とまれェ!」
アシタカ「おしとおる!」
侍「こいやァ!」

侍「!」
侍たち「こりゃあたまげた!」

侍たち「とめたぞ!やるのォ!矢のむだだ!やめとけ!」

町の女「早く早く!」
トキ「ほんとだ。あの人だよ」
町の女「幽霊じゃないよね?」
トキ「アシタカさまーっ!」
アシタカ「おトキさんかー!みんな無事かー!?」
トキ「見てのとおりさ男たちの留守をねらって侍どもがおしよせてきやがった!」
町の女「下はやられちまった」
トキ「女ばかりとあまく見やがって…エボシ殿は?」
トキ「動ける男はみんなつれてシシ神退治にいっちまってる。こうかこまれては知らせようがなくてさ」
アシタカ「シシ神退治…やはりさっきの音は…」
甲六「ダンナーあずかってましたぜーっ!」
トキ「なんで鞍とミノも持ってこなかったのさ!」
甲六「だって…」
トキ「この役立たず!」
アシタカ「甲六、ありがとう!エボシ殿をよびにいく!それまでもつか…!?」
トキ「いざとなったらとけた鉄をぶっかけてやるさ!」
町の女「アシタカさま、おねがいします!エボシさまにはやく!」

町の男「はずしたか…」
町の男「船が来ますぞ、おはやく!エボシさまおたのみます!わたしらもたたかいますゆえ!」
アシタカ「かならずもどる!」
トキ「たのむよーっ!」
町の女「お気をつけて…」
甲六「!」
ある侍「でたぞーッいっきーー」
アシタカ「追手(おって)がかかった!たのむぞ、ヤックル!」

アシタカ「ああ…」

アシタカ「生きものの焼けるにおいだ…」

アシタカ「ヤックル!」

侍たち「こいやぁー」
アシタカ「アシタカがヤックルの身で矢を抜いてる」
侍たち「うおおおおおおお!」

アシタカ「!」
ある侍「おらららららー」

ある侍「!」
アシタカ「来るな!」

アシタカ「ヤックル、傷を見せろ!」すまないここでまっててくれ!かならずもどる。

アシタカ「だめだ、まってろ!

アシタカ「がんばれもうすこしだ」

兵士「何者か!?」
兵士「ここは修羅の庭。よそ者はすぐ立ち去れい!」
アシタカ「この死者たちの世話になった者だ。いそぎ伝えたいことがある。エボシ殿に会いたい」
兵士「エボシはここにはいない。伝えよう、用むきを話せ!」
アシタカ「本人に話す。エボシ殿はどこか!?」
町の男「だんなー!生きとったんですか!むごいことになったな。まだ何人もうまってるんでさ」
町の男「ひでえなんてもんじゃねぇ」
アシタカ「タタラ場が侍におそわれた」
町の男「ええっ!?」
アシタカ「女たちが上の曲輪にたてこもってがんはっている。いまならまだまにあう」
町の男「えれぇことになった…」
町の男「アサノのやつらだ…留守をねらいやがった」
アシタカ「エボシ殿はここにはいないのか!?」
町の男「へぇ…シシ神殺しに森へ…」
アシタカ「すぐびもどせ!まにあわなくなるぞ」
兵士「用むきがすんだら即刻(そっこく)たち去れ」
兵士「みな仕事にもどれ!」
町の男「おい、ほっとく気かよ!」
町の男「ちょっと待ってくだせえ」
町の男「あいつらタタラ場を見殺しにする気だぞ」
町の男「帰りを待ってたりしちゃ手おくれになっちまう」
町の男「すぐ使いをだせ!」
兵士「森はひろくて深い。使いのだしようがないのだ」
町の男「ウンをつくなよ!」
兵士「のろしでもなんでもあんたちの得意だろうが!」
町の男「エボシさまはやつらにおどらされてるんだ」
アシタカ「攻めよせた猪の中に山犬はいなかったか?」
町の男「えっ?」
アシタカ「サン…いやもののけ姫は?」
町の男「さぁわからねぇ…まっくろになっておしよせてきたから…」
アシタカ「…」
町の男「いました…お…おれたちがいちばん前にいたから…」
アシタカ「それで…」
町の男「わからねぇ!とつぜんなんにもわからなくなっちまって…唐傘のやつら、おれたちをエサに猪をおびきよせ…地面ごとふっとばしやがったんでさ。上からも地雷火をなげやがった…」
アシタカ「…」

アシタカ「はっ」
山犬「ガウヴウ〜ッ」
アシタカ「…!」
町の男「んん…?」

アシタカ「サンはどうした!?くっ…」
山犬「グルルル…」
アシタカ「おちつけ!おまえを助けたい」
町の男「山犬だ!山犬が生きてるぞーっ!だ…だんななにを…」
アシタカ「ウウーッ」
町の男「だんな!」
兵士「どけい!小僧…なにをしている!?」
アシタカ「この者に案内をたのむのだ。わたしがエボシを呼びにいく!」
兵士「さては魔性のたぐいか!どけッ!」
アシタカ「シシ神の首とタタラ場とどちらがたいせつなのだ!?」

町の男「毒針だ!」
アシタカ「あっ!」
町の男「や…やめろ!」

兵士「!」
町の男「みんな力をだせ!テコをつかえ!」

町の男たち「でたぞーっ!」

アシタカ「へい!みんなは沢(さわ)をくだって湖の近くにかくれていてくれ!」
町の男「お気をつけて…石火矢衆もやつらの仲間です」
アシタカ「あずかってくれ!最後の矢が折れてしまった」

アシタカ「おまえはみんなといきな。ヤックルをたのむ!

アシタカ「サンのところへ!そこにエボシもいる」
ジコ坊「ジバシリどもにおくれるな。今日こそけりをつけるのだ」
狩人「ジコ坊さま」
ジコ坊「オッ。様子はどうだった?」
狩人「深手をおった乙事主はもののけ姫とさらに森の奥(おく)へ向かっております」
ジコ坊「やはりシシ神に助けをもとめる気だ。ぴったりはりつけよ!人と見やぶられてはシシ神はでてこめぞ」
狩人「言われるまでもねぇ…」
エボシ「やつの顔にぬったのは猪の血か?」
ジコ坊「へへ…ジバシリのわざだ。おぞましいものよ」

サン「がんばって!もうじきシシ神さまのお池だから」

サン「ああっ!」

サン「なにかくる!乙事主さまようすがおかしいの…」
乙事主「…」
サン「もうちょっとだからがんばって!」
山犬「とてもいやなものがくる」
サン「なんだろう?血のにおいで鼻がきかない」

サン「猩猩たち…」
猩たち「おまえたちのせいだ。おまえたちのせいでこの森おわりだ」
サン「なにをいう!森のために戦った者へのこれが猩猩の礼義(れいぎ)か!」
猩たち「おまえたち破滅つれてきた!生きものでも人間でもない者つれてきた!」
サン「生きものでも人間でもないもの…?」
猩たち「きたーっ!森のおわりだ!」
サン「!」
山犬「ヴヴ〜ッ」

サン「戦士たちが…」
乙事主「もどってきた!」
サン「ハッ」
乙事主「もどってきた!黄泉の国から戦士たちが帰ってきた」
サン「おまえは母さんにこのことを知らせて!人間の狙いはシシ神さまだ。母さんが生きていれば知恵をかしてくれる」

サン「おいき!山犬の血をとだえさせてはだめ!いい子…」

サン「最初の者を殺す!森じゅうにおまえたちの正体を知らせてやる!」

山犬「オオオオオーン」
サン「…アシタカが…」
乙事主「ブギイイ!」

サン「おのれ!」
乙事主「あついぞ!からだが火のようだ…」
サン「あっ!ダメーッ!乙事主さまタタリ神なんかにならないで!乙事主さま…!アッ!」
アシタカ「こたえた!わかるか?」
山犬「サンがあぶない!」
アシタカ「いこう!」

サン「ウ…!…!あつい…」
サン「アァッ!いやだ…」
サン「タタリ神になんかなりたくない!乙事主さま!」

山犬「おい!のれっ!」
アシタカ「あっ!」
石火矢衆たち「山犬だーッ!」
石火矢衆「ワァッ!」
石火矢衆「!」
アシタカ「エボシ!」
ジコ坊「おおッ」
アシタカ「くそっ!先にいけ!」

アシタカ「エボし、話を聞けーッ!」
エボシ「アシタカかァーっ!?」
アシタカ「タタラ場が侍におそわれている。シシ神殺しをやめてすぐもどれ!女たちが戦っている。男たちも山をくだった。みなそなたの帰りを待っている」
エボシ「その話信ずる証拠(しょうこ)は?」
アシタカ「ない!できるならタタラ場にとどまり戦いたかった」
エボシ「シシ神殺しをやめて侍殺しをやれと言うのか」
アシタカ「ちがう!森とタタラ場双方生きる道はないのか!?」

石火矢衆「エボシさま、もどりましょう」
ジコ坊「あいつ…どっちの味方なのだ?」
エボシ「女たちにはできるだけの備えをさせてある。自分の身は自分で守れと…池だ!シシ神は近いぞ」
ジコ坊「いよいよ正念場だ。油断するな。
ジバシリ「あの女いなくとも…」
ジコ坊「神殺しはこわいぞ。あいつにやってもらわにゃ…」

アシタカ「…」

アシタカ「モロっ死んだのか…サン、どこだー!サーン!」
サン「アシタカ!」
アシタカ「…!」

アシタカ「乙事主…」
イノシシたち「去れ、ハッ!」
アシタカ「ここで争(あらそ)うとシシ神はでてこぬぞ。乙事主よ、しずまりたまえ!乙事主、山犬の姫をかえしてくれ。サンはどこだ。サン!きこえるか。わたしだ!アシタカだ!」

アシタカ「サン!くっ!」

狩人1「ワァッ」

狩人2「あいつをしずめろ!」

狩人たち「殺せ!やつを射殺せ!」

山犬たち「ガウウガウガウ」
狩人たち「うわっ〜」

アシタカ「サン!」
サン「アシタカ!」

モロ「やれやれ、あの女のためにのこしておいたさいごの力なのに」

狩人たち「結界をはれ!」

山犬「おまえたち手出しをするんじゃないよ。タタリなんぞもらうもんじゃない」
タタリ神になった乙事主「ぐぇー!」

山犬「もう言葉までなくしたか…」

ジコ坊「よくやった。もういいぞ。けが人の手当(てあて)をしてやれ。いやいやおそろしいながめよ。でた…」

モロ「わたしの娘をかえせ!

モロ「アシタカ!おまえにサンが救えるか!?

アシタカ「ハッ。シシ神…」

アシタカ「ああ!」
アシタカ「エボシ!うつな!」
エボシ「首をとばさねばだめか…」
ジコ坊「石火矢がきかぬ」
アシタカ「そなたの敵はほかにいるはずだ!」

アシタカ「サン!死ぬなァ!」
ジコ坊「なんとシシ神は生命を吸いとるのか。…むっ!?いかんディダラボッチになるぞ!」
エボシ「みなよく見とどけよ!神殺しがいかなるものなのか。シシ神は死をもつかさどる神だ!おびえておくれをとるな」

アシタカ「…!?やめろお!」

アシタカ「エボシ!」

エボシ「クソッ、化け物め!」

アシタカ「くっ!」
石火矢衆「やったぁ」
サン「ぐっ」
ジコ坊「首おけをいそげ!」
アシタカとサン「…」

ジコ坊「わぁ!」
石火矢衆「ぐわ〜」
兵士「うっ」
エボシ「ジコ坊、首おけをもってこい!かつぎ手がやられた!」
ジコ坊「はやくはやく」
エボシ「シシ神の体にふれるな!生命を吸いとられるぞ!受けとれ!約束の首だ!」
モロ「ばくっ!」

石火矢衆「エボシさま!
エボシ「モロめ!首だけで動きよった…」
ジコ坊「やばいぞ、いそげー」
兵士「ジコ坊さま!」

ジコ坊「逃げろ!」

アシタカ「島へ逃げろ!」
石火矢衆「わしはおよげんのだ!」
アシタカ「水の底を歩ける」

サン「そいつをよこせ!やつ裂きにしてやる」
アシタカ「モロが仇をうった。もう罰はうけている。手をかせ」
ゴンザ「エボシさま」
エボシ「よけいな情けは…」
アシタカ「おトキさんたちにつれて帰ると約束した」

アシタカ「首をさがしている…ここもあぶない、サン。力をかしてくれ」
サン「いやだ!おまえも人間の味方だ!その女をつれてさっさといっちまえ!」

サン「くるな!人間なんか大キライだ!」
アシタカ「わたしは人間だ。そなたも…人間だ」
サン「だまれェ!わたしは山犬だ!」
アシタカ「サン」
サン「よるな!」

アシタカ「すまない。なんとかとめようとしたんだが…」
サン「もう終わりだ。なにもかも。森は死んだ…」
アシタカ「まだ終わらない。わたしたちが生きているのだから。力をかしておくれ」

兵士「まて〜手伝え!」
ジコ坊「どいつもこいつもまったく…いかんいかん!…!首が動いとる…」

ジコ坊「こいつが呼んどるんだ!」

町の人「ありがとう。とれたよ、トキ」
トキ「やけに静(しず)かだね。夜明けをまつつもりだ」
町の人「あの若者はエボシさまに知らせてくれただろうか?」
トキ「アシタカさまはきっとやってくれるよ。もうそのへんに来てるかもしれないよ。あーあ、だらしない顔しちまって」
町の人「いまのうちさ寝かしといてやりなよ」
町の女「なんだろう気味が悪いね」

侍たち「ひけェ、馬をひけぇ。こらー乱(みだ)れるな」
町の女「持ち場をはなれるんじゃないよ」
町の女「どうしよう。こっちへ来るよ」
町の人「だめだ。逃げよう」
トキ「タタラ場を守るんだ。エボシさまと約束したんだから…」
町の人たち「あの人だ!」
町の人「アシタカさまだ!」
町の人たち「みんな逃げろー」
アシタカ「シシ神が首をとりもどそうと追ってきたんだ。あのドロドロにさわると死ぬぞ!水の中へいけ。ドロドロがおそくなる。男たちとエボシは対岸(たいかん)をこっちへ向かっている。わたしたちは首をとりもどしてシシ神にかえす」
サン「アシタカ!」
アシタカ「いそげ!」
トキ「さわぐんじゃない!」
町の人「トキ、逃げよう」
町の女「はい!」
町の女「みんなを湖へ!」
町の女「落ちついてケガ人や病人に手をかすんだよ」

町の女「そっちへいっちゃだめだよ」
甲六「ああ…大屋根が…」

甲六「もうだめだ!タタラ場が燃えちまったらなにもかもおしまいだ」
トキ「生きてりゃなんとかなる!もっと深い所へ」

ジコ坊「いた、あそこ!」
サン「おいき!」
アシタカ「その首、まてェ!」
ジコ坊「おぬしも生きとったかよかった」
アシタカ「首をシシ神にかえします。置いてはやく逃げなさい」
ジコ坊「いまさらとりかえしはつかん。陽が出ればすべて終わる」
ジコ坊「見ろ…生命を吸ってふくらみすぎたのろまな死神だ。陽にあたればやつは消えちまう」
兵士「ジコ坊さま、追いつかれます、早く…」
ジコ坊「天地の間にあるすべてのものを欲するは人の業というものだ…」
アシタカ「あなたを殺したくはない!」
ジコ坊「いやぁ、まいったなァ。そうこわい顔を…するな!」
兵士「くっ」
ジコ坊「走れ!」

ジコ坊「おうっ」
ジコ坊「囲まれたぁ〜ああ〜いかん」
ジコ坊「朝陽よ、いでよぉ」
ある兵士「わけを開けろ」
ジコ坊「わからんやつだな、もう手をくれた」
サン「アシタカ、人間に話したってむだだ!」
アシタカ「人の手でかえしたい」
ジコ坊「ええい!どうなっても知らんぞ」

ジコ坊「わっ!」
サン「…」

アシタカ「シシ神よ」

町の女たち「動かなくなったぞ…」
町の女たち「男たちだ!」
町の女たち「エボシさまー」
町の人「ええい、さわぐな傷にさわる!」

町の人たち「ああー…たおれる、たおれる」
町の人たち「つかまれ!はなすな」

甲六「すげぇ…シシ神は花さかじじいだったんだぁ…」

アシタカ「サン…サン。見てごらん」

サン「よみがえってもここはもうシシ神の森じゃない!シシ神さまは死んでしまった」
アシタカ「シシ神さまは死にはないよ。生命そのものだから…生と死とふたつとも持っているもの…わたしに生きろといってくれた」

サン「アシタカは好きだ。でも人間をゆるすことはできない」
アシタカ「それでもいい。サンは森でわたしはタタラ場でくらそう。共に生きよう。会いにくいよ。ヤックルに乗って」

エボシ「ざまぁない。わたしが山犬の背で運ばれ生きのこってしまった。礼(れい)を言おう、誰かアシタカを迎えに行っておくれ。みんなはじめからやり直しだ。ここをいい村にしよう」

ジコ坊「いやぁーまいった、まいった。バカには勝てん」

エンディング「もののけ姫 -米良美一-」


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ジブリ作品名セリフ乱立!

  1. 2008/09/06(土) 01:34:12|
  2. ジブリ|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:0
ジブリ作品名セリフ乱立!

ドーラ「40秒で支度しな」

モロ「お前にサンを救えるか」

ムスカ「人がゴミのようだ」

シータ&パズー「バルス!」

アシタカ「私に生きろと言ってくれた」

ポルコ「飛ばねえ豚はただの豚だ」

フェラーリン「飛んだところで豚は豚だぜ」

シータ「人は土を離れては生きられないのよ!」

パズー「あがれぇ〜!」

大婆様「その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし」

ハウル「守らなければならないものができたんだ・・君だ」

ポルコ「いいやつはみんな死んだやつさ」

テルー「いのちを大切にしない奴なんて、大嫌いだ!」

アシタカ「どいてくれ…」

シータ「国が滅びたのに王だけ生きてるのは滑稽だわ」

ソフィー「あの人はまっすぐよ。自由に生きたいだけ」


今はこれだけかな〜

耳をすませば 全セリフ

  1. 2008/07/20(日) 05:24:22|
  2. ジブリ|
  3. トラックバック:5|
  4. コメント:3
耳をすませば

引きこもりの大人を追い込む最強の青春物語


雫「こんばんは」
近所のおばさんA「あついわね」
雫「ただいま」
お母さん「ありがと」
お母さん「またビニール袋、牛乳1本なのに」
雫「だってくれるんだもの」
お母さん「断ればいいじゃない。あたしにもちょうだい」
雫「お父さんは?麦茶!」
お父さん「ん、もらう。いまそっちへいく」
お母さん「ありがと」
お母さん「ワープロあいた?」
お父さん「今プリントアウト中だよ・・・」
お母さん「やっぱりノートワープロ買おうかしら」
お母さん「わぁ、タバコくさい」
お父さん「雫も柏崎へ行けばよかったのに・・・」
雫「いい。お姉ちゃんとだと疲れる」
お父さん「・・・そうだ。明日出勤だった」
お母さん「ええーっ、お弁当?」
お父さん「いいよ、外食にする」
お父さん「わが図書館もついにバーコード化するんだよ。準備に大さわぎさ」
雫「やっぱり変えちゃうの?わたし、カードのほうが好き」
お父さん「ぼくもそうだけどね」
お母さん「ねえ、この文章おかしいわよ」
お父さん「えっ、どこ?」
お母さん「1行ぬけてんのかしら、ここ・・・」
お父さん「・・・あっ、そうだ。いけね!」
お母さん「ああ、先貸して。急いでこれまとめなきゃ。教授うるさいんだから・・・」
雫「!?・・・この人・・・」
お父さん「雫、本もいいけど適当に寝なさい」
雫「うん、おやすみなさい」
雫「やっぱり・・・、見覚えある名まえだと思った・・・」
雫「これにも・・・」
雫「すごいこの人、みんなわたしより先に借りてる・・・」
雫「天沢聖司・・・、どんな人だろう・・・、素敵な人かしら・・・」
お母さん「雫ーっ、いいかげんに起きなさい!」
お母さん「わたし、出かけるよー!」
お母さん「なあに、あなたそのまま寝てたの?」
お母さん「お米といどいてよ」
雫「いってらっしゃーい」
雫「わっ!こんな時間!?夕子と会うんだ!」
お母さん「おさいふー!」
雫「なあにー?また下まで降りちゃったの?」
お母さん「そう!」
お母さん「おかしいなあ・・・」
雫「電話のとこはー?」
お母さん「あったぁ!」
雫「自分で置いたくせに」
お母さん「ヒャー遅刻する!戸締りしてよ!」
雫「そこつー」
雫「わあ・・・、随分ひくーい」
雫「今日はいいことありそう!」
雫「わーっ、あっつーい」
雫「ヤッホー!元気だね」
テニスの少女「おーい、雫ーっ!」
雫「ヤッホー、がんばってねー!」
雫「高坂先生います〜?」
高坂先生「あれ?月島じゃん。どうした?」
雫「センセ、お願い聞いてくれますぅ?」
高坂先生「なーに?変なことじゃないだろうねぇ」
雫「図書室開けてください!」
高坂先生「図書室?」
高坂先生「次の開放日まで待てないの?」
雫「みんな読んじゃったんです。市立図書館は今日休みだし・・・」
雫「わたし、休み中に20冊読むって決めたんです」
高坂先生「20冊〜〜〜!?月島は仮にも受験生なんだよ・・・」
高坂先生「ほれ、早くしな」
雫「えーと・・・、あった!」
高坂先生「早く持っといで!」
雫「お願いしまーす」
高坂先生「ほれほれ、読書カードと貸出しカードを出す出す!」
高坂先生「うひゃあ、何これ・・・」
高坂先生「今まで1人も借りてないじゃん!」
雫「貴重な本なんですよぉー」
雫「市立図書館にもないんだから」
雫「・・・・・!?」
雫「あまさわ・・・」
雫「センセッ!」
雫「この天沢って人どんな人か知ってます?」
高坂先生「あ〜〜〜ん、失敗しちゃったじゃないかぁ!」
高坂先生「寄贈した人だろ?そんな古いことわからないよ」
高坂先生「ベテランの先生に聞いてみな」
夕子「雫ーっ!」
夕子「あーっもう!こんなところにいた!」
夕子「11時に昇降口っていったくせに15分も太陽の下にいさせて!」
夕子「またソバカスが増えちゃうじゃない!」
雫「ご、ごめん」
高坂先生「こらこら、さわぐな。原田は気にしすぎなんだよ、ソバカス・・・」
夕子「先生!あたし、真剣に悩んでいるんです!!」
高坂先生「あー、わかったわかった」
高坂先生「ほれ、2人共出た出た」
雫「一応やってみたけどうまくいかないよ」
雫「やっぱり英語のままでやったら?」
夕子「白い雲 湧く丘をまいてのぼる 坂の町〜♪」
夕子「古い部屋 小さな窓 帰り待つ 老いた犬♪」
雫・夕子「カントリーロード はるかなる ふるさとへ つづく道〜♪」
雫・夕子「ウェストジーニア 母なる山 なつかしい わが町〜♪」
夕子「悪くないよ」
雫「だめだ!ありきたり・・・」
夕子「そうかなあ」
雫「こんなのも作った」
夕子「コンクリートロード どこまでも〜♪」
夕子「森をきり 谷をうめ ウエスト東京 マウント多摩♪」
雫・夕子「ふるさとは コンクリートロード♪」
夕子「なぁに、これ」
雫「で、なによ相談って?」
雫「訳詞はまだいいんでしょ?」
夕子「・・・うん」
夕子「雫、好きな人いる?」
雫「え・・・?」
夕子「両思いの人がいたらいいなって思うよね・・・。受験だし、はげまし合ってがんばれたらって・・・」
雫「夕子、好きな人いるんだ」
雫「ラブレター!?もらったの?」
夕子「シッ!やだっ!」
雫「いつ?どんな人?かっこいい?」
夕子「他のクラスの子・・・、少しかっこよかった」
雫「つきあってみたら?それで嫌なら断る」
夕子「・・・でも」
雫「・・・・・」
雫「さては他に好きな人いるでしょう!」
夕子「えっ・・・」
雫「隠してもダメ!ほ〜れ、白状しちゃえ」
夕子「えっ・・・、あ・・・、す、す・・・」
杉村「つきしまぁ〜っ!」
杉村「オレのバッグとってくれるー?」
夕子「!」
雫「杉村!」
雫「?」
杉村「ねー、そこの青いスポーツバッグ!」
杉村「頼むよー、月島ーっ!」
杉村「それ投げてぇ!」
雫「・・・・・」
雫「うるさいなあ、もう!」
雫「万年タマひろい!」
杉村「ひでぇなあ、レギュラーで3回戦突破したんだぞ!」
雫「夕子!?」
杉村「わっ!」
雫「杉村だったのかぁ・・・、夕子の好きな人って」
夕子「どうしよう、わかっちゃったかもしれない・・・」
夕子「わたし、あんな・・・」
雫「大丈夫だって、あいつにぶいから」
雫「でも、どうするの?ラブレターのほうは」
夕子「うん・・・、もう少しひとりで考えてみる」
雫「そっか・・・」
夕子「いいなぁ、雫ん家は勉強、勉強って言わなくて・・・」
雫「あんまり言われないのもつらい時あるよ」
夕子「そうかなぁ」
雫「あっ!いけない!!」
夕子「どうしたの?」
雫「本、忘れてきちゃった・・・。わたし帰るね」
夕子「乗っけてこーか?」
雫「いい!夕子、塾遅れるよ」
夕子「また電話するね」
雫「うん!」
雫「・・・・・」
雫「!」
聖司「・・・・・!?」
雫「・・・・・」
雫「そ、その本」
聖司「あ・・・!これ、あんたのか」
聖司「ほらよ、月島雫」
雫「名まえ、どうして・・・?」
聖司「さて、どうしてでしょう」
雫「・・・・・」
雫「あっ・・・、図書カード」
聖司「おまえさ・・・、コンクリートロードはやめた方がいいと思うよ」
雫「・・・・・」
雫「!」
雫「読んだなーっ!!」
雫「ヤなヤツ、ヤなヤツ、ヤなヤツ、ヤなヤツ、ヤなヤツ、ヤなヤツ!」
雫「・・・・・」
雫「ヤなヤツ!」
雫「コンクリートロードはやめたほうがいいぜ・・・」
雫「なによっ!!」
お姉ちゃん「ただいまー!」
雫「お姉ちゃん、今日だったの?」
お姉ちゃん「ひゃー、疲れた・・・」
お姉ちゃん「ちょうどこっちへ車で帰る人がいたんで乗せてもらっちゃった」
お姉ちゃん「お母さんは?」
雫「夏期集中講座だって。お父さんは出勤」
お姉ちゃん「雫、少しは片づけな。晩ご飯の仕度は?」
雫「お米といどくの」
お姉ちゃん「なぁにこれ!雫、ちらかしっぱなしじゃない!」
雫「今やるとこー」
お姉ちゃん「お母さん、大変だから応援しようって決めたでしょう?」
お姉ちゃん「お米といだら洗濯物しまって!シャワー浴びたらわたしがご飯作るから・・・」
お姉ちゃん「おばさんが高校生になったら雫も来いって」
雫「ん・・・」
お姉ちゃん「勉強進んだ?」
雫「ん・・・」
お姉ちゃん「うちの親は何もかまわないからって安心してると、ひどいことになるからね」
雫「してるよぉ!」
お姉ちゃん「でねー、おしょう油まで持たせようとするのよ・・・」
お母さん「おばさんらしいわねぇ・・・」
雫「う〜〜〜ん」
お姉ちゃん「雫!いいかげんに起きな!」
お姉ちゃん「自分のとこ掃除機かけなさい!」
お姉ちゃん「シーツ洗うから出して!フトンも干すのよ!」
雫「ん〜〜〜っ」
雫「お母さんは?」
お姉ちゃん「とっくに行った」
お姉ちゃん「さっさと片づけて、そのお弁当お父さんに届けてあげて」
雫「え〜〜〜っ」
お姉ちゃん「なによその声・・・、図書館に行くんでしょ?」
お姉ちゃん「代わりにわたしが行こうか?」
お姉ちゃん「雫がトイレと風呂場に玄関掃除して、生協に行ってくれるのよね」
お姉ちゃん「フトンを取り込んで、買い物して、晩ご飯の仕度するのよ」
雫「行ってきまーす」
お姉ちゃん「雫ーっ!」
雫「?」
お姉ちゃん「これポストに出しといてー!」
雫「なーに?」
お姉ちゃん「ポ・ス・ト!」
雫「・・・・・」
お姉ちゃん「見なくていーのぉ!」
お姉ちゃん「クリップごと出すんじゃないよ!」
雫「カレシー?」
お姉ちゃん「バカ!」
雫「・・・・・」
雫「ネコ君、ひとり?」
ムーン「・・・・・」
雫「・・・・・!?」
雫「どこまで行くの?」
ムーン「・・・・・」
雫「外、おもしろい?」
ムーン「・・・・・」
雫「おーい、答えてよぉ」
雫「わたし、ここで降りるの。君は?」
雫「じゃあね、ネコ君」
雫「あ・・・」
少年1「あっ」
少年2「あーっ、ネコ!」
雫「図書館の方へ行く!」
雫「・・・・・」
雫「あ〜〜〜あ、せっかく物語が始まりそうだったのに・・・」
雫「!」
雫「いたー!!」
雫「!」
雫「ああっ!」
雫「・・・すごい坂。・・・どこまで登るのかしら」
雫「ネコくーん」
雫「ネコくーん」
雫「このあたりに住んでいるのかしら・・・」
雫「!?」
雫「きゃっ!」
雫「ネコくーん、どこまで行くの?この辺に住んでるの?」
雫「丘の上にこんなところがあるなんて知らなかった」
雫「・・・・・」
雫「性わるーう。犬をからかってまわっているんだ・・・」
雫「うーん、わたしのことをからかっているのかも」
雫「!」
雫「こんなお店が丘の上にあるなんて知らなかった」
雫「すてきな人形・・・」
雫「あなたはさっきのネコ君?」
雫「・・・・・!」
雫「・・・・・!!」
西「やあ、いらっしゃい」
雫「あ、あの・・・」
西「あ、いや、そのままそのまま・・・」
西「自由に見てやってください。男爵も退屈してるから・・・」
雫「男爵ってこのお人形の名まえですか?」
西「そう」
西「フンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵・・・。すごい名でしょう?」
西「やっ、すまん」
西「ありがとう、もう大丈夫だ・・・」
雫「立派な時計ですね」
西「あるお城で眠ってたんだよ。すっかりサビついていたんだ」
西「ごらん」
雫「わーっ、きれい。これ、なんですか?」
西「ふふふ・・・、できあがってのお楽しみ・・・」
雫「わぁ・・・!」
雫「よくできてる!ドワーフですね!」
西「よくご存知だ」
西「そうか、お嬢さんはドワーフを知ってる人なんだね」
西「文字盤を見てごらんなさい」
西「うまくいくかな?」
雫「エルフ!」
西「ガラスが光るね・・・、ここへ来なさい」
雫「はい」
雫「王女さま?」
西「そうだね・・・」
雫「2人は愛し合ってるの?」
西「・・・ん。しかし住む世界が違うんだ。彼はドワーフの王だからね」
西「12時の鐘を打つ間だけ彼女は羊から元の世界へ戻れるんだよ・・・」
西「それでも彼は時を刻むごとにああして現れて、王女を待ち続けるんだ・・・」
西「きっとこの時計を作った職人が届かぬ恋をしていたんだよ・・・」
雫「それで2人ともなんだか悲しそうなのね・・・」
雫「ああっ!!」
雫「この時計すすんでますよね!」
西「んー・・・、でも5分くらいかな」
雫「大変!!」
西「おおっ!?」
雫「わたし、図書館に行かなきゃ!」
雫「さよなら!」
雫「おじいさん、また来ていいですかぁ?」
西「ああ。図書館なら左行った方がいいよ」
雫「きゃあ!」
雫「♪」
雫「わあっ、図書館の真上!」
雫「ふふふ・・・、いいとこ見つけちゃった」
雫「物語に出てくるお店みたい!」
雫「すてきー!」
聖司「つきしまー!」
雫「!」
聖司「月島雫!!」
聖司「これ、お前んだろう?」
雫「えっ!?」
雫「ああーっ!!」
聖司「忘れっぽいんだな・・・」
雫「あ、ありがとう」
雫「でも、どうして・・・?」
聖司「さて、どうしてでしょう・・・」
雫「!!」
雫「ネコ!」
雫「そっ、そのネコ、君のーーーっ!?」
聖司「お前の弁当、ずいぶんでっかいのな」
雫「えっ!?」
雫「!」
雫「ちがうー!!」
聖司「コンクリートロード どこまでも〜〜〜♪ 続いてる 白い道〜〜〜♪」
雫「ちがうのぉ、こらあーーー!!」
お父さん「あれ?来てくれたのか」
雫「・・・・・」
お父さん「どうしたんだ?怖い顔して」
雫「ちょっと説明しようがないの」
お父さん「はあ・・・?」
雫「とてもいいことがあって洞窟で宝物を見つけた感じだったの」
雫「それが心ない一言で生き埋めになった気分!」
お父さん「ハハハ、それは複雑だ・・・」
お父さん「今日も借りていくかい?」
雫「うん、あと7冊は読まなきゃ」
お父さん「相変わらずだねえ。飯どうする?」
雫「売店で済ます」
お父さん「そうか・・・じゃあ、ありがとう」
雫「6月16日・・・、すごい・・・天沢って人、この本も読んじゃってる・・・」
雫「どんな人なんだろう・・・」
雫「!!」
雫「ちがう!おまえなんかじゃない!!」
雫「・・・・・!」
お母さん「雫ー、早くしなぁー!」
お母さん「はあ〜っ、遅刻ーーー!」
お母さん「傘!傘とって!」
お母さん「新学期なのに雨ばっかりねえ」
雫「文句言わない!あなたは好きで勉強しているんでしょう」
お母さん「はぁい」
雫「しっかり勉強しなさい」
お母さん「まぁかしといてー」
夕子「雫ーっ!」
雫「ヤッホー」
夕子「はやく。遅れるよー」
夕子「やあねえ、テストばっかりで」
雫「毎日なんかかんかあるね」
雫「あれ、返事した?」
夕子「ううん・・・」
雫「何も言ってこない?」
夕子「うん」
夕子「わたし、やっぱり断る・・・」
雫「そっかぁ。うん、その方がいいかもね・・・」
雫「!」
雫「杉村ーーーっ!」
杉村「ギリギリだぞーっ!」
雫「わかってるーーー!」
先生1「はい、終わりー。集めてぇ」
先生1「午後は通常だからな」
夕子「雫、高坂先生のとこ行こ」
雫「うん、その前に職員室よっていい?」
夕子「いいよ」
杉村「月島っ、聞いて聞いて!」
雫「なによ」
杉村「ばーっちしヤマあたりすげえの」
雫「この幸せもの」
杉村「休み時間に見たところがそのままドンピシャだぜ!」
雫「ただの野球バカじゃなかったんだあ」
雫「ヤマはりなら夕子得意だよねー」
雫「今度一緒に勉強したらぁ?」
杉村「原田が!?」
男子「杉村、杉村ーっ!」
杉村「なんだよ?」
夕子「行こう、雫!」
雫「わっ・・・」
夕子「無理矢理くっつけようとしないで!」
雫「わかった?」
夕子「わたし、ヤマなんか当たったことないもの!」
雫「ごめーん」
雫「失礼します」
先生2「本の寄贈者?ぼくにわかるかなぁ・・・」
雫「すみません、お食事中に」
雫「この蔵書印なんです」
先生2「ん・・・?えーっと・・・」
先生2「ああ、天沢さんじゃないか!これ、ぼくも読んだよ。いい本でしょう?」
雫「はい、とても・・・」
雫「それでこの天沢さんという方はどんな人なんですか?」
先生2「何年か前に確か・・・PTAの会長をされていた方だよ」
雫「PTAの・・・。あの、その方の名まえはわかります?」
先生2「名まえ・・・?えーと・・・」
先生2「木村先生、天沢さんはなんていいましたっけねえ。天沢医院のほら・・・」
木村先生「天沢さん?たしか航一ですよ。天沢航一・・・」
雫「天沢航一・・・」
木村先生「月島!同じ学年に天沢さんとこの末っ子がいるじゃないか。知らないのか?」
雫「ええっ!?」
雫「あっ、あの・・・」
雫「ありがとうございました」
夕子「失礼します」
先生3「わっ!」
雫「あっ!」
雫「すみません」
先生3「?」
夕子「雫ー、どこ行くのぉ?」
雫「ハアーーーッ、驚いたぁ」
夕子「驚いたのはこっちよ!」
夕子「ちゃあんと説明してもらいますからね!」
雫「エヘヘ・・・、ごめん」
雫「!」
夕子「?」
雫「・・・・・」
夕子「?」
夕子「雫、どっち行くのよ」
雫「なによ!完ペキに無視してくれちゃって!!」
夕子「雫、誰?あいつ・・・。どこへ行く気?」
雫「あいつヤなヤツなの。逃げるのヤじゃない!」
夕子「わたし、雫のお弁当を持って走りまわってたのよぉ」
高坂先生「月島に男がねえ・・・」
絹「アハハハハ・・・」
メガネっ娘「カァワイー」
絹「先生!雫にもよーやく春が来たんですねぇー」
雫「違うって言ってるのにぃ!」
絹「本当は本の王子様に会ったんでしょう?」
メガネっ娘「ハンサム?」
雫「だからぁ、どんな人かと思っただけ」
絹「ねえ夕子はその人の名まえ知ってんでしょ?おしえなよー」
雫「夕子ぉ!」
夕子「それが・・・とっさのことでさ・・・」
夕子「マがついていたんだけど、マサキだったっけ・・・?アマ・・・、ねえ雫・・・」
雫「さあね」
高坂先生「でもさぁ、話を最後まで聞かずにとび出してくるなんて月島らしいねぇ」
絹「知りたいけど知りたくないのよね。ゆれる心が苦しくて・・・うれしい!」
メガネっ娘「まあ、ロマンチックですこと・・・」
雫「そうやってからかっていればいいでしょ!せっかくカントリーロードの詩、書いてきたのに」
夕子「できたの?」
絹「見せて見せて!」
夕子「雫さま、大詩人さま、もうしませんのでお見せください」
雫「よろしい」
雫「本当は自信ないんだ」
雫「ふるさとって何かやっぱりわからないから正直に自分の気持ちで書いたの」
絹「過激ねー、これ」
夕子「カントリーロード♪」
夕子・絹・メガネっ娘「この道 ずーっと ゆけば〜♪」
夕子・絹・メガネっ娘「あの街に つづいてる 気がする カントリーロード♪」
夕子「雫、いいよ。わたし好き」
雫「歌いにくくない?」
絹「なんとかなるんじゃない?」
夕子「後輩にあげるだけじゃつまらない。わたし達も謝恩会で歌おうよ」
雫「ええ?謝恩会!?」
メガネっ娘「気がはやーい」
絹「ここいいな・・・。ひとりで生きると何も持たず町をとび出した 淋しさおし込めて強い自分を守っていた・・・」
高坂先生「諸君、予鈴だよ」
雫・夕子・絹・メガネっ娘「はーーーい」
雫「あー、晴れた晴れた」
夕子「雫ーーー!」
夕子「コーラス部にちょっと寄っていかない?あの詩見せるのー」
雫「いいー!図書館に行かなきゃ」
夕子「ええっ?明日もテストあるよ」
雫「図書館でやるもん」
夕子「好きねー」
雫「じゃあね」
夕子「バーイ」
杉村「原田・・・。あのさぁ・・・、わるいんだけどちょっといいかな・・・」
夕子「・・・うん」
雫「やっぱりお休み・・・。お花に水はやってあるのかなぁ・・・」
雫「・・・男爵がいないわ。買われちゃったのかしら・・・」
雫「・・・西司朗。あいつも西っていうのかな・・・」
雫「!」
雫「ふーっ」
お姉ちゃん「雫。雫ー!」
雫「・・・!?」
お姉ちゃん「夕子ちゃんから電話!!」
お母さん「耳わるくなるよぉ、雫・・・」
雫「夕子?・・・え?なに?聞こえない」
雫「・・・!うん。今すぐ行くから。・・・うん。じゃ切るよ」
お母さん「どこ行くの?」
雫「すぐそこ」
雫「どうしたの?夕子・・・」
夕子「雫〜〜〜」
雫「どうしたのよ。あっ、なに?その顔!?」
夕子「雫ぅ、どうしよ〜〜〜」
夕子「杉村が友達にたのまれて、あの手紙の返事くれぇーって・・・」
雫「ええっ!?」
雫「あちゃ〜〜〜」
夕子「なんで杉村がそんなこというのよ!!」
杉村「お、おい・・・?」
雫「・・・あいつ、にぶいからなぁ」
雫「でもさ、杉村だって夕子の気持ち知ってるわけじゃないし・・・」
夕子「・・・・・」
夕子「杉村にはあやまる・・・」
夕子「でも、こんな顔じゃ学校行けないから明日は休むね・・・」
雫「テストも?」
夕子「ん・・・」
雫「そっか・・・」
杉村「!」
雫「(バ〜カ。)」
杉村「(なんだよ・・・。)」
メガネっ娘「うまくいったらしいよ・・・」
絹「雫ー!今日も図書館?」
雫「夕子のとこ行ってみる」
絹「あっ、そうか。よろしくね」
雫「うん!バイバイ」
絹「バイバーイ」
杉村「月島ーーー!」
雫「!」
杉村「待てよーーー!」
杉村「原田のことなんだけど・・・」
杉村「・・・そしたらさ原田のやつ、急に泣き出して・・・」
杉村「なあ・・・オレ、なんかわるいこと言ったかな・・・」
雫「・・・・・」
雫「杉村さ・・・、夕子はあんたがどうしてそんなこと言うのって言ったんでしょ?」
杉村「うん。だから野球部の友達にたのまれたって・・・」
雫「ちがう〜」
雫「それって杉村にはそんなこと言われたくないってことよ!この意味わかるでしょ!」
杉村「わかんないよ!はっきり言ってよ!」
雫「もう!本当ににぶいわねっ!夕子はね、あんたのことが好きなのよ!!」
杉村「えっ!?」
杉村「そんなっ、オレ困るよ!」
雫「困るって・・・、かわいそうなのは夕子よ!ショックうけて休んじゃったんだから!!」
杉村「だ・・・だってオレ・・・」
杉村「オレ、おまえが好きなんだ!!」
雫「えっ!?」
雫「や・・・やだっ。こんな時、冗談言わないでっ」
杉村「冗談じゃないよ!ずっと前からおまえのことが好きだったんだ!」
雫「だ、だめよ、わたしは・・・。だってそんな・・・」
杉村「オレのことキライか?つきあってる奴がいるのか?」
雫「つきあってる人なんかいないよ・・・」
雫「で、でも・・・」
雫「ごめん!!」
杉村「待てよっ!」
杉村「月島・・・、はっきり言え!」
雫「だって・・・、ずっと友達だったから杉村のことスキだけど、好きとかそういうんじゃ・・・」
雫「ごめん・・・、うまく言えない・・・」
杉村「・・・ただの友達か・・・?」
雫「・・・・・」
杉村「これからもか?」
雫「・・・・・」
杉村「そうか・・・」
雫「バカ!にぶいのは自分じゃないか!」
近所のおばさん2号「月島さん、ちょっと待って。お届け物あずかってるの」
お母さん「あっ、いつもすみません」
雫「・・・・・」
近所のおばさん2号「わるいわねー、いつももらっちゃって」
お母さん「いいのよ、うちじゃ食べきれないから」
お母さん「あら・・・、帰ってたの」
お母さん「雫?」
雫「・・・・・」
雫「ヤッホー」
雫「君もしめ出されたの?」
ムーン「・・・・・」
雫「君はこの家で飼われているの?・・・お腹減ってない?」
ムーン「・・・・・」
雫「君もかわいくないね、わたしそっくり・・・」
雫「どうして変わっちゃうんだろうね・・・。わたしだって前はずーっと素直でやさしい子だったのに・・・」
雫「本を読んでもね、このごろ前みたいにワクワクしないんだ・・・」
雫「こんなふうにさ、うまくいきっこないって心の中ですぐ誰かが言うんだよね・・・」
雫「かわいくないよね・・・」
聖司「・・・?」
雫「・・・?」
聖司「へえ・・・、月島かぁ・・・」
雫「アアッ!」
聖司「よくムーンがさわらせたな・・・」
聖司「おいムーン、寄ってかないのか?」
雫「あのネコ、ムーンっていうの?」
聖司「ああ、満月みたいだろ。だからムーンってオレは呼んでるけどね」
雫「ムーンは君んちのネコじゃないの?」
聖司「あいつをひきとめるのは無理だよ」
聖司「よその家でお玉って呼ばれてるのを見たことがあるんだ」
聖司「他にもきっと名まえがあるよ・・・」
雫「フーン、渡り歩いているんだ・・・」
雫「!」
雫「そうかァ!」
雫「ムーンは電車で通勤しているのね!」
聖司「電車!?」
雫「そうなの。ひとりで電車に乗ってたの。それで後をつけたらここへ来てしまったの」
雫「そしたら素敵なお店があるでしょう。物語の中みたいでドキドキしちゃった」
聖司「・・・・・」
雫「悪いこと言っちゃったな。ムーンにおまえかわいくないねって言っちゃった」
雫「わたしそっくりだって・・・」
聖司「ムーンがおまえと!?」
聖司「全然似てないよ!!」
聖司「!」
聖司「あ・・・、あいつはもう半分化け猫だよ・・・」
雫「・・・・・」
聖司・雫「・・・・・」
聖司「おまえ・・・」
雫「あの・・・」
聖司・雫「あ・・・」
雫「おじいさん元気?ずーっとお店お休みだから元気かなって・・・」
聖司「ピンピンしてるよ。この店変な店だから開いてるほうが少ないんだ」
雫「そうなの・・・、よかった」
雫「窓からのぞいたら男爵が見えないんで売れちゃったのかなって・・・」
聖司「ああ!あのネコの人形か」
聖司「見る?来いよ」
聖司「ドア閉めて」
雫「わあ・・・」
雫「空に浮いてるみたい・・・」
聖司「高所恐怖症?」
雫「ううん、高いところ好き」
雫「素敵・・・」
聖司「この瞬間が1番きれいに見えるんだよ」
聖司「こっち・・・」
聖司「ちょうどいいや。そこにすわって」
雫「時計がない・・・」
聖司「ああ!そこにあったやつ?」
聖司「今日届けにいったんだ。ここへ来いよ」
雫「売れちゃったの?」
聖司「もともと修理の仕事だもん」
雫「そうかぁ、もう1度見たかったな」
聖司「3年がかりでさ・・・、月島が弁当忘れた日にできたんだよ」
雫「あっ!あのお弁当!」
聖司「わかってるよ。おまえのじゃないことぐらい」
聖司「ここへ来てネコの眼ん中を見てみな」
雫「・・・・・」
聖司「はやくしろよ。光がなくなるぜ」
雫「!」
雫「ああーーーっ!!」
聖司「エンゲルスツィーマー、天使の部屋っていうんだ」
聖司「布張りの時に職人が偶然つけた傷で出来るんだって・・・」
雫「きれいね・・・」
聖司「男爵はなくならないよ、おじいちゃんの宝物だもん」
雫「たからもの?」
聖司「何か思い出があるみたいなんだ。言わないけどね」
聖司「好きなだけ見てていいよ。オレ、下にいるから」
聖司「電気そこね。つけたかったらつけて」
雫「不思議ね、あなたのことずーっとセンから知っていたような気がするの・・・」
雫「時々、会いたくてたまらなくなるわ」
雫「今日はなんだか、とても悲しそう・・・」
雫「・・・・・」
雫「・・・・・?」
聖司「・・・・・!」
聖司「ああ・・・、もういいの?」
雫「う、うん。ありがとう・・・」
雫「ねっ、それ・・・、もしかしてバイオリン作ってるの?」
聖司「あ?・・・ああ」
雫「見ていい?」
聖司「・・・うん」
聖司「こうなるんだよ」
雫「これ全部自分で作ったの?手で?」
聖司「あたりまえだよ」
雫「信じらんない!」
聖司「バイオリンは300年前に形が完成しているんだ」
聖司「あとは職人の腕で音の良し悪しが決まるんだよ」
雫「あれも全部作ったの?」
聖司「・・・・・?」
聖司「まさか・・・。ここでバイオリン作りの教室もやっているからさ・・・」
雫「でも、あなたのもあるんでしょ?」
聖司「・・・うん」
雫「ねえ、どれ?どれ?」
聖司「あれ!」
雫「わぁー!これぇ?」
雫「すごいなあ、よくこんなの作れるねー。まるで魔法みたい」
聖司「おまえなー、よくそういうはずかしいこと平気で言えるよな」
雫「あら、いいじゃない。本当にそう思ったんだから」
聖司「そのくらいのもん、誰でも作れるよ!」
聖司「まだ全然だめさ!」
雫「・・・・・」
雫「!」
雫「ねえ、バイオリン弾けるんでしょ?」
聖司「・・・まあね」
雫「おねがい!聴かせて!ちょっとでいいから」
聖司「あのなぁ〜」
雫「おねがい、おねがい、おねがーい!」
聖司「よーし!そのかわりおまえ歌えよ!」
雫「えっ!?だっ、だめよ!あたし音痴だもん!!」
聖司「ちょうどいいじゃんか」
聖司「歌えよ。知ってる曲だからさぁ」
雫「ひとりぼ〜っち♪おそれずーに♪生きようと夢見て〜た♪」
雫「さみしーさ押し込め〜て♪強い自分を守っていこー♪」
雫「カントリーロード♪この道ー♪ず〜っと♪ゆけばー♪」
雫「あの街にー♪つづいて〜るー♪気がすーるー♪カントリーロード♪」
雫「どんなさ〜みしい〜時だあって♪決して涙みせないでー♪」
雫「心なしか歩調がはやくなってゆく♪思い出ー♪消すためー♪」
雫「カントリーロード♪この道ー♪故郷ーへー♪つづいてもー♪」
雫「ぼくは〜♪いかないーさ♪いけな〜い♪」
雫「カントリーロード♪」
雫「カントリーロード♪明日はー♪いつもーの♪ぼくさー♪」
雫「かえりた〜いー♪かえれな〜いー♪さよな〜らー♪」
雫「カントリーロード♪」
西「いやいや、愉快愉快」
雫「月島雫です。この間はありがとうございました」
西「いや、お嬢さんにはまた会いたいなあと思ってました」
西「この2人はぼくの音楽仲間です」
南「ナイスボーカァル!例の時計が完成した時に居合わせた幸運な方ですな」
北「聖司くんにこんなかわいい友達がいたとはねえ」
雫「ええっ!?」
雫「セイジ!?」
雫「あなた、もしかして天沢聖司?」
聖司「ああ。あれ?言ってなかったっけ?オレの名まえ」
雫「言ってなーい!だって表に西って出てた」
聖司「あれはおじいちゃんの名まえだよ。オレは天沢!」
雫「・・・・・」
雫「ひどい!不意討ちだわ!洞窟の生き埋めよ!」
雫「空が落ちてきたみたぁい!」
聖司「何バカなこと言ってんだよ。名まえなんてどうだっていいじゃないか」
雫「よくなーい!!自分はフルネームで呼び捨てにしておいて!」
聖司「おまえがきかないからいけないんだろ!」
雫「きく暇なんかなかったじゃない!」
雫「ああ・・・、天沢聖司ってわたしてっきり・・・」
聖司「なんだよ」
雫「やさしい静かな人だと思ってたの!」
聖司「おまえなあ、本の読みすぎだよ」
雫「自分だっていっぱい読んでるじゃない!」
雫「ほんとに楽しかった・・・。みんないい人達ね」
聖司「また来いよ。じいちゃん達喜ぶから」
雫「聴くだけならなあ・・・、歌うのはつらいよ」
雫「・・・でも天沢くん、バイオリン上手だね。そっちへ進むの?」
聖司「オレくらいの奴はたくさんいるよ」
聖司「それよりオレさ、バイオリン作りになりたいんだ」
雫「そうかあ・・・、もうあんなに上手だもんね」
聖司「イタリアのクレモーナにバイオリン製作学校があるんだよ」
聖司「中学を出たらそこへ行きたいんだ」
雫「・・・・・!?」
雫「高校・・・、行かないの?」
聖司「家中が大反対!だからまだどうなるかわからないけど、おじいちゃんだけが味方してくれてるんだ・・・」
雫「すごいね、もう進路を決めてるなんて・・・」
雫「わたしなんか全然けんとうもつかない」
雫「毎日なんとなく過ぎちゃうだけ・・・」
聖司「オレだってまだ行けるって決まっちゃいないんだぜ」
聖司「毎日、親とケンカだもん」
聖司「行けたとしても本当に才能があるかどうかやってみないとわからないもんな」
雫・聖司「・・・・・」
聖司「おくってかなくていいの?」
雫「うん、もうそこだから」
雫「じゃあね」
聖司「あ・・・」
聖司「月島!」
雫「ん・・・?なに?」
聖司「おまえさ、詩の才能あるよ」
聖司「さっき歌ったのもいいけど、オレ、コンクリートロードのほうも好きだぜ」
雫「なによっ、この前はやめろって言ったくせに・・・」
聖司「オレ、そんなこと言ったっけ?」
雫「言ったー!!」
聖司「そうかあ・・・?」
雫「・・・・・」
雫「今日はありがとう。さよなら」
お姉ちゃん「雫・・・、スタンドちゃんと消しな!昨日つけっぱなしだったよ」
雫「お姉ちゃん、進路っていつ決めた?」
お姉ちゃん「ええっ?」
雫「し・ん・ろ!」
お姉ちゃん「あんた杉の宮受けるんでしょう?」
雫「そうじゃなくって・・・」
お姉ちゃん「それを探すために大学へ行ってるの」
雫「ふ〜ん」
お姉ちゃん「おやすみ」
雫「おやすみ」
雫「お母さんってば自分が休講だからって起きないんだから!」
雫・杉村「!」
雫・杉村「・・・・・」
杉村「・・・・・」
杉村「おはよう!」
雫「・・・・・」
雫「おはよう!」
杉村「もっとはやく走れ!」
雫「さ、先行っていい!」
杉村「・・・・・」
雫「ひゃ〜〜〜、助かったぁ〜〜〜」
夕子「雫っ、雫っ」
夕子「ひどい顔ねぇ・・・」
雫「そういうあなたは立ち直り早いわねぇ・・・」
夕子「夕べ、よそのクラスの男の子と歩いてたって?」
雫「ええっ!?誰がそんなこと言ったの!?」
夕子「ウワサよ・・・。恋人同士みたいだったって」
雫「そんなんじゃないよ・・・」
夕子「!?・・・・・」
雫「・・・・・」
杉村「原田・・・、あのことだけどオレのほうから断っとく」
杉村「ごめんな」
夕子「ううん。わたしこそごめんね」
杉村「いいよ」
メガネ男子「おい!夕べのサスケ見たか?すげえんだ。オレ感動した」
数学の先生「この公式は中間に出すからね!よく覚えておきなさい!」
クラスの生徒たち「ええ〜〜〜〜〜っ!!」
数学の先生「終わります!!」
聖司「あのさ、月島いるかな?」
3年5組男子「天沢じゃん。なに?」
聖司「月島ってこのクラスだろ?」
3年5組男子「月島?」
3年5組男子「ああいるよ!」
3年5組男子「おーい、月島!面会だぞー!男の!」
雫「・・・・・!?」
杉村「!?」
3年5組男子「ほらっ、あそこだよ」
雫「・・・・・!!聖司くん!」
聖司「月島・・・、ちょっといいかな・・・?」
雫「・・・あっ、はいっ!」
3年5組の連中「わーい!月島に男がいたぞー!」
3年5組の連中「お・と・こー!お・と・こー!」
雫「違う!!」
雫「そんなんじゃないわよっ!!」
雫「なに?いったい」
聖司「行けるようになったんだ!イタリアへ」
雫「えっ!?」
雫「あっち行こ!」
聖司「どこへ行くんだよ」
雫「屋上!」
雫「ああ・・・!」
聖司「・・・すげえな・・・」
雫「だってあんなにたくさん人がいるところで呼び出すんだもん」
聖司「わるい、1番先に雫におしえたかったんだ」
雫「・・・・・」
雫「ご、誤解されるぐらいかまわないけど・・・」
聖司「おやじがやっと折れたんだよ。ただし条件つきだけどね」
雫「え・・・、なあに・・・?」
聖司「じいちゃんの友達が紹介してくれたアトリエで2ヶ月見習いをやるんだよ・・・」
雫「みならい?」
聖司「その親方はとってもきびしい人なんで、見込みがあるかどうか見てくれるって」
聖司「それにオレ自身が我慢できるかどうかもわかるだろうってさ」
聖司「だめだったらおとなしく進学しろって言うんだ」
聖司「オレ・・・、そういうの好きじゃないよ。逃げ道作っとくみたいで・・・」
聖司「でもチャンスだから行ってくる」
雫「いつ行くの?」
聖司「パスポートが取れしだい・・・」
聖司「学校とは今日おやじと話をつけるんだ」
雫「じゃあ、すぐなんだ・・・」
雫「よかったね、夢がかなって・・・」
聖司「ああ。とにかく一生懸命にやってみる」
雫「あの・・・」
聖司「お・・・」
雫「・・・・・」
聖司「!」
聖司「雨あがるぞ」
雫「ほんとだ・・・」
雫「わあ・・・、あそこ見て」
雫「虹が出るかもしれない・・・」
聖司「うん・・・」
雫「クレモーナってどんな町かな・・・」
雫「素敵な町だといいね」
聖司「うん」
聖司「古い町だって・・・。バイオリン作りの職人がたくさん住んでいるんだ」
雫「すごいなあ・・・、ぐんぐん夢に向かって進んでいくって」
雫「わたしなんかバカみたい」
雫「聖司くんと同じ高校へ行けたらいいな・・・なんて」
雫「ハハハ・・・、てんでレベル低くてやんなっちゃうね」
3年5組男子「しー、いるいる」
3年5組男子「いたぞぉ」
聖司「オレ、図書カードでずーっと前から雫に気がついてたんだ」
聖司「図書館で何度もすれちがったの知らないだろ」
聖司「となりの席にすわったこともあるんだぞ」
雫「エエーーーッ!!」
聖司「オレ、おまえより先に図書カードに名まえ書くため、ずいぶん本読んだんだからな」
雫「・・・・・!」
聖司「オレ・・・、」
聖司「・・・・・、」
聖司「イタリアへ行ったらおまえのあの歌うたってがんばるからな」
雫「・・・・・」
雫「・・・・・わ、わたしも・・・・・」
3年5組男子「押すな!バカ!」
3年5組女子「ひゃあ!」
雫「こらーーー!!」
3年5組男子「うわっ、月島が怒ったー!」
お姉ちゃん「はい」
お父さん「ああ、すまん」
雫「ごちそうさま」
お母さん「雫・・・、もう食べないの?」
雫「夕子と待ち合わせ」
お母さん「駅の方へ行くなら牛乳買ってきて」
雫「え〜〜〜っ」
お姉ちゃん「雫、ガブ飲みしたんでしょ!」
お姉ちゃん「・・・このごろてんでたるんでるんだから、あの子・・・」
雫「ごめーん!さぼらした?」
夕子「いいよ」
雫「もう頭グジャグジャ」
夕子のお母さん「あら雫ちゃん、いらっしゃい」
雫「こんばんわ」
夕子のお父さん「おかえり」
雫「失礼します」
夕子のお母さん「お茶入れるから取りに来なさいね」
夕子「はーい」
夕子「お父さんとケンカしてるの。口きいてやらないんだ」
雫「・・・・・」
夕子「男の子ってすごいなあ・・・」
雫「2ヶ月で帰ってきても卒業したらすぐ戻って10年ぐらいはむこうで修行するんだって」
夕子「ほとんど生き別れじゃない・・・」
夕子「でもさ、こういうのこそ赤い糸っていうんじゃない?」
夕子「素敵だよ!」
雫「相手がカッコよすぎるよ。同じ本を読んでたのに」
雫「片っぽはそれだけでさ。片っぽは進路をとっくに決めててドンドン進んでっちゃうんだもの」
夕子「そうかぁ・・・」
夕子「そうよね。絹ちゃん、1年のとき同じクラスだったじゃない・・・。天沢くんってとっつきにくいけど
   ハンサムだし、勉強もできるって言ってたわ」
雫「どうせですよー」
雫「そう、あからさまに言わないでよ。ますます落ち込んじゃう・・・」
夕子「なんで?好きならいいじゃない。告白されたんでしょ?」
雫「それも自信なくなった・・・」
夕子「はぁ・・・」
夕子「私わかんない。私だったら毎日手紙書いて励ましたり励まされたりするけどなあ」
雫「自分よりずっとがんばってるやつにがんばれなんて言えないもん・・・」
夕子「そうかなあ・・・」
夕子「雫の聞いてるとさ、相手とどうなりたいのかわからないよ」
雫「・・・・・」
夕子「進路が決まってないと恋もできないわけ?」
夕子「雫だって才能あるじゃない」
夕子「カントリーロードの訳詞なんか後輩たち大喜びしてるもの」
夕子「私と違って自分のことはっきり言えるしさ・・・」
雫「オレくらいの奴たくさんいるよ・・・」
夕子「えっ?」
雫「ううん、あいつが言ったの。あいつは自分の才能を確かめにいくの」
雫「だったらあたしも試してみる」
夕子「・・・・・?」
雫「決めた!あたし物語を書く!」
雫「書きたいものがあるの。あいつがやるならあたしもやってみる」
夕子「でも、じき中間だよ」
雫「いいの」
雫「夕子ありがとう。なんだか力が湧いてきた」
夕子「帰る?」
雫「うん」
雫「おじゃましました」
夕子のお母さん「お母さんによろしくね」
雫「はい」
雫「夕子もがんばってね」
夕子「うん・・・」
雫「夕子のよさ、きっと杉村にもわかるよ」
雫「さよなら」
夕子「さよなら」
雫「そうかぁ、簡単なことなんだ。あたしもやればいいんだ」
雫「・・・・・!」
雫「ムーン」
ムーン「・・・・・」
雫「・・・・・」
女の子「ムター、ムター」
雫「?」
女の子「お母さーん。ムタまた行っちゃったよー」
女の子「ムター」
雫「ムタだって・・・」
西「ほぉ・・・、バロンを主人公に・・・」
雫「お許しを頂けますか?」
雫「聖司くんからこのお人形がおじいさんの宝物だとうかがったものですから・・・」
西「ハハハ・・・、それでわざわざ・・・」
西「いいですとも」
西「ただし条件が1つある」
雫「・・・?」
雫「はい」
西「ぼくを雫さんの物語の最初の読者にしてくれること」
雫「あ・・・、あの・・・」
西「どうですかな?」
雫「・・・・・」
雫「やっぱり見せなきゃだめですか?」
雫「だって・・・、ちゃんと書けるかどうか、まだわからないから・・・」
西「ハハハハ・・・」
西「それは私達職人も同じです」
西「初めから完璧なんか期待してはいけない」
西「そうだ、いいものを見せてあげようかな・・・」
西「これこれ・・・」
西「見てごらん」
雫「・・・・・」
西「雲母片岩という石なんだがね」
西「その割れ目を覗いてごらん」
西「そう、そうして・・・」
雫「わぁーっ、きれい・・・」
西「緑柱石といってね、エメラルドの原石が含まれてるんだよ」
雫「エメラルドって宝石の?」
西「そう」
西「雫さんも聖司もその石みたいなものだ・・・」
西「まだ磨いてない自然のままの石・・・」
西「わたしはそのままでもとても好きだがね」
西「しかしバイオリンを作ったり物語を書くというのは違うんだ」
西「自分の中に原石を見つけて、時間をかけて磨くことなんだよ」
西「手間のかかる仕事だ・・・」
雫「・・・・・」
西「その石の1番大きな原石があるでしょう」
雫「はい」
西「実は、それは磨くとかえってつまらないものになってしまう石なんだ・・・」
西「もっと奥の小さいものの方が純度が高い」
雫「・・・・・」
西「いや、外から見えない所にもっと良い原石があるかもしれないんだ」
西「いや〜、いかんいかん。歳をとると説教くさくていかんな・・・」
雫「自分にこんなきれいな結晶があるのかどうかとてもこわくなっちゃった・・・」
雫「でも書きたいんです。書いたらきっとおじいさんに最初にお見せします・・・」
西「ありがとう。楽しみに待ってますよ」
雫「・・・原石」
雫「・・・ラピス・ラズリの鉱脈・・・」
バロン「いざ、おともつかまつらん!ラピス・ラズリの鉱脈を探す旅に!」
バロン「恐れることはない。新月の日は空間がひずむ」
バロン「遠いものは大きく・・・、近いものは小さく見えるだけのこと・・・」
バロン「飛ぼう!上昇気流をつかむのだ!」
バロン「急がねば!小惑星が集まってきた!」
雫「はああああわあああ!」
バロン「いいぞ!気流に乗った!」
バロン「このままあの塔をいっきに越そう!」
雫「あんなに高く!?」
バロン「なあに、近づけばそれほどのことはないさ・・・」
雫「行こう!恐れずに!午後の気流が乱れる時、星にも手がとどこう!」
お父さん「あれ・・・?」
お父さん「へえ・・・、めずらしいなあ。雫が物語以外の本を探してるなんて・・・」
雫「この人・・・、牢屋でバイオリン作ってるんだ・・・」
雫「!」
雫「聖司くん!」
雫「もう行っちゃったのかと思ってた」
聖司「おじいちゃんに聞いて、ここじゃないかと思ったんだ」
聖司「会えてよかった。明日行く・・・」
雫「明日・・・」
聖司「いいよ、雫が終わるまでここで待ってる」
聖司「送れなくてごめんな」
雫「ううん、来てくれてとてもうれしかった」
雫「見送りにはいけないけど、帰りを待ってるね」
聖司「うん、たった2ヶ月さ」
雫「あたし・・・、泣きごとばかり言ってごめんね。あたしもがんばるね」
聖司「・・・・・」
聖司「じゃあ行ってくる」
雫「いってらっしゃーい!」
バロン「わたしといいなずけのルイーゼは遠い異国の町に生まれた・・・」
バロン「その町にはまだ魔法が生きていて、魔法使いの血をひく職人達が工房をつらねていたものだった」
バロン「わたし達を作ったのは見習いのまずしい人形作りだった」
バロン「しかし、ルイーゼとわたしは幸せだった。彼が人を愛する想いをこめてくれたから・・・」
バロン「ところが・・・」
夕子「雫、雫、雫っ!」
英語の先生「どうしたんだ?月島・・・」
雫「わ、わかりません。聞いてませんでした」
英語の先生「しっかりしろよ、大事な時だぞ」
雫「すみません」
英語の先生「原田!かわりに読め」
夕子「はい」
夕子「えーっ!また4時まで起きてたの!?」
雫「平気だよ。全然眠くならないもん」
夕子「でもさ、雫このごろボーッとしてること多いよ」
夕子「さっきだって・・・」
雫「考えこんでただけよ」
雫「書きたいことがありすぎてまとまらないんだ」
雫「・・・・・」
雫「なんか食欲ない・・・」
雫「・・・・・」
お母さん「雫!いるんじゃない」
お母さん「やあね、あかりもつけないで」
お母さん「あ〜あ、洗濯物ぐらいしまってくれればいいのに・・・」
お母さん「雫!ちょっと来なさい!雫!!」
お父さん「雫は?いるんだろ?」
お母さん「ほしくないって」
担任の先生「あっ、お待ちしてました」
お母さん「お手数をおかけします」
担任(英語)の先生「さあ、こちらへ」
担任(英語)の先生「進路指導室あいてるだろう?」
他の先生「ああ」
担任(英語)の先生「どうぞ」
お母さん「ただいま」
お姉ちゃん「おかえりなさい」
お母さん「今日は早いのね、汐」
お母さん「はあ〜、疲れた」
お姉ちゃん「コーヒー飲む?」
お母さん「たのむわ」
お姉ちゃん「お母さん、ちょっと相談あるんだけど」
お母さん「なあに?」
お姉ちゃん「わたし、家出ようと思うんだ・・・」
お姉ちゃん「もう部屋見つけてあるの」
お母さん「でも、お金かかるんでしょ?」
お姉ちゃん「大丈夫。バイトで貯めたし」
お姉ちゃん「塾の先生の口見つけたからなんとかやっていける」
お母さん「そうか・・・。汐には手伝いばかりやらせちゃったもんね・・・」
お母さん「がんばりな。お父さんに話しとく」
お姉ちゃん「ほんと!?うれしい」
お母さん「春までは何かと物入りだけど、卒業したらあたしも働けるから」
お母さん「そしたら少しは応援するね」
お姉ちゃん「うん、期待してる」
お姉ちゃん「ごめんね、修士論文でたいへんな時に」
お母さん「ありがと。データの整理手伝ってくれただけで大感謝してる」
お姉ちゃん「部屋が広くなって雫も少しは勉強に集中できるよ」
お姉ちゃん「あの子この頃変だもの」
お母さん「やっぱりそう思う?」
お母さん「今日、学校に呼び出されたの」
お母さん「これ見て」
お姉ちゃん「なあに?これ」
お姉ちゃん「信じらんない!100番も落っことしてるじゃない!」
お母さん「あの子、机にかじりついて何やってるのかしらね・・・」
お父さん「あっ、こんばんわ」
近所のおばさん1号「おかえりなさい」
近所のおばさん1号「すみませんね」
お姉ちゃん「あんな成績でいったいどんな高校に行くつもりなの!?」
お父さん「!?」
雫「いいわよ、高校なんか行かないから!!」
お姉ちゃん「高校行かない〜〜〜?世の中を甘くみるんじゃないわよ!!」
お姉ちゃん「中学出ただけでどうやっていく気!?」
雫「自分の進路ぐらい自分で決めるよ!!」
お姉ちゃん「・・・・・」
お姉ちゃん「生意気言うんじゃないの!!雫のはただの現実逃避だよ!!」
お姉ちゃん「2学期で内申決まるのわかってるでしょう!?」
雫「勉強するのがそんなにえらいわけ!?」
雫「お姉ちゃんだって大学入ったらバイトしかしてないじゃない!!」
お父さん「・・・・・」
お姉ちゃん「あたしはやるべきことはやってるわ!!」
お姉ちゃん「今やらなきゃいけないことから逃げてるのは雫でしょう!それがわからない!?」
雫「逃げてなんかいない!もっと大事なことがあるんだから!」
お姉ちゃん「大事なことって何よ!?はっきり言ってごらん!!」
お父さん「汐、雫、もうよしなさい」
お姉ちゃん「だって・・・お父さん、雫ったらひどいのよ」
お父さん「うん・・・、2人共こっちに来てわけを話してごらん」
お父さん「雫、ちゃんと服を着替えておいで」
お姉ちゃん「早くしな」
お父さん「なるほど・・・」
お父さん「雫、汐の言ったとおりかい?」
雫「テストがどうでもいいなんて思ってない!!」
お姉ちゃん「さっき高校なんか行かないって言ったじゃない」
雫「だって、お姉ちゃんがどこへも行けないって言った・・・」
お父さん「汐・・・、雫と2人で話をするから席をはずしてくれないか」
お姉ちゃん「はい」
お父さん「母さんは?」
お姉ちゃん「田中さんとこ」
お母さん「ただいま」
お姉ちゃん「おかえりなさい」
お姉ちゃん「お母さん」
お母さん「お父さん帰ってるの?」
お姉ちゃん「うん」
お父さん「母さんもここへ来てくれないか。雫のこと、汐から聞いたとこなんだ」
お母さん「はい・・・」
お父さん「さて・・・、雫。今、雫がやっていることは勉強よりも大切なことなのか?」
お父さん「何をやってるのか話してくれないか?」
雫「・・・言える時が来たら言う」
お母さん「雫、それって今すぐやらなきゃいけないことなの?」
雫「時間がないの。あと3週間の内にやらないと・・・」
雫「あたし、その間に自分をためすって決めたんだから」
雫「やらなきゃ・・・」
お母さん「ためすって何を?何をためしてるの?」
雫「・・・・・」
お母さん「だまってちゃわからないでしょう」
お母さん「お父さんやお母さんには言えないことなの?」
お母さん「あなた」
お父さん「あ・・・、すまん、ついな・・・」
お父さん「雫が図書館で一生懸命何かやってるのを見てるしなあ・・・。感心してたんだよ」
お父さん「雫のしたいようにさせようか、母さん。1つしか生き方がないわけじゃないし・・・」
お母さん「うん・・・。そりゃあ、わたしにも身におぼえの1つや2つはあるけど・・・」
お父さん「よしっ。雫、自分の信じるとおりやってごらん」
お父さん「でもな、人と違う生き方はそれなりにしんどいぞ」
お父さん「何が起きても誰のせいにもできないからね・・・」
お母さん「それから、ご飯の時はちゃんと顔を出しなさい」
お父さん「そうだ、家族なんだからね」
雫「はい」
お父さん「汐を呼んできて」
お母さん「お茶入れるわ」
お父さん「うん・・・」
お姉ちゃん「雫」
お姉ちゃん「お父さん・・・、ああ言ってるけど本当は勉強してもらいたいと思ってるんだからね」
雫「わかってる。背中に書いてあるもん」
お姉ちゃん「わたし、今度の日曜日に引っ越すからね」
お姉ちゃん「部屋、ひとりでつかえるよ」
雫「お姉ちゃん、家出るの?」
お姉ちゃん「そう!しっかりやんな」
バロン「はやく!」
バロン「はやく!」
バロン「はやく!」
バロン「本物は1つだけだ!」
雫「どれ?どれが本物!?」
バロン「はやく!」
バロン「はやく!」
バロン「はやく!」
雫「ああ・・・」
雫「!」
雫「きゃあああ・・・!!」
雫「・・・・・」
西「・・・・・!!」
西「ルイーゼ、来てくれたのか」
西「わたしはもうすっかり歳をとってしまったよ・・・」
西「・・・・・」
西「・・・・・!?」
西「雫さん・・・」
西「さあ、どうぞ」
西「いやぁ、すっかり眠ってしまった」
雫「すみません。あの・・・、物語を書いたので持ってきました」
西「お・・・、それでできたんですね・・・」
雫「約束です、最初の読者になってください」
西「これは大長編だ!」
雫「あの、今すぐ読んで頂けませんか?何時間でも待ってますから」
西「しかし・・・、せっかくの作品だから時間をかけて読みたいがなぁ」
雫「つまらなかったらすぐにやめていいんです。いえ、ご迷惑でなかったら・・・」
雫「あの・・・、ドキドキしてとても・・・」
西「わかりました。すぐ読ませてもらいます」
西「さあ、火のそばへ。今日は冷えこむ」
西「これで邪魔者は来まい」
雫「あの、あたし、下の部屋で待ってちゃだめでしょうか?」
西「ん・・・?」
雫「平気です、ちっとも寒くありません」
西「ふ〜む、かまわんが。しかし・・・」
西「こんなところで・・・」
西「雫さん、読みましたよ」
雫「・・・・・」
西「ありがとう、とてもよかった」
雫「うそっ!うそっ!本当のことを言ってください!」
雫「書きたいことがまとまってません!後半なんかめちゃくちゃ!」
雫「自分でわかってるんです!!」
西「そう、荒々しくて率直で未完成で・・・、聖司のバイオリンのようだ」
雫「・・・・・!?」
西「雫さんのきり出したばかりの原石をしっかり見せてもらいました」
西「よくがんばりましたね、あなたは素敵です」
西「あわてることはない。時間をかけてしっかり磨いてください」
雫「わあああああ・・・、うわ〜〜〜ん、あ〜〜〜ん」
西「さぁ、ここは寒い、中にお入り」
雫「あたし・・・、あたし、書いてみてわかったんです。書きたいだけじゃだめなんだってこと」
雫「もっと勉強しなきゃだめだって」
雫「でも、聖司くんがどんどん先に行っちゃうから無理にでも書こうって・・・」
雫「あたし、怖くて、怖くて・・・」
西「聖司を好いてくれてるんだね」
西「味はどうかな?」
雫「おいしいです」
西「聖司のときはラーメンだったな。最初のバイオリンができた時さ」
西「それもジャンボ大盛りだ」
西「やぁ、ありがとう」
西「さて、どこまで話したかな?」
雫「ドイツに留学して町のカフェでバロンを見つけたって・・・」
西「そうそう、メランコリックっていうのかな、この表情にひかれてね・・・」
西「店の人に是非ゆずってほしいと申し出たんだ。でも断られた」
西「このネコの男爵には連れがいる。恋人同士を引き離すことはできないってね」
西「ちょっとした修理に職人の元へもどしてある貴婦人のネコの人形の帰りをバロンは待っているっていうんだ」
雫「それって、まるでわたしの作った物語と・・・」
西「そうなんだ、不思議な類似だね・・・」
西「帰国の日もせまっていたし、ぼくは諦めようと思った」
西「その時ね、一緒にいた女性が申し出てくれたんだ」
西「恋人の人形がもどってきたら彼女がひきとって、2つの人形をきっと一緒にするからって・・・」
西「店の人もとうとう折れてね・・・、ぼくはバロンだけを連れてドイツを離れることになった」
西「必ず迎えに来るから、それまで恋人の人形を預かってほしいとその人に約束してね」
西「2つの人形が再会する時はわたしたちが再会する時だと・・・」
西「それからすぐ戦争が始まってね、ぼくは約束を果たせなかった・・・」
西「ようやく、その町に行けるようになってから随分探したんだ」
西「しかし、その人の行方もバロンの恋人もとうとうわからなかった」
雫「・・・その人、おじいさんの大切な人だったんですね・・・」
西「追憶の中にしかいなかったバロンを雫さんは希望の物語によみがえらせてくれたんだ」
西「そうだ、あれを・・・」
西「さあ、手を出して」
雫「・・・・・!?」
雫「あの・・・」
西「その石はあなたにふさわしい・・・。さしあげます」
西「しっかり自分の物語を書きあげてください」
雫「・・・はい・・・」
雫「ありがとうございました」
雫「さよなら・・・」
雫「ただいま」
お母さん「おかえり」
雫「お父さんは?」
お母さん「お風呂」
お母さん「あなた、今何時だと思ってるの?」
雫「ご心配をおかけしました。今日からとりあえず受験生にもどります」
雫「ご安心ください」
お母さん「あら・・・!?じゃっ、ためしとやらが終わったのね?」
雫「とりあえずね」
お母さん「ご飯は?カレーあるよ」
雫「いいーっ」
お母さん「ふぁ〜、とりあえずか・・・」
雫「ふぅーっ」
お父さん「雫、入るぞ」
お父さん「風呂に入れ」
お父さん「・・・・・!?」
お父さん「・・・・・」
お父さん「戦士の休息だな・・・」
雫「!!」
雫「う、うそ・・・」
雫「!」
雫「ま、待ってて・・・」
聖司「奇跡だ!本当に会えた!」
雫「ゆ、夢じゃないよね」
聖司「飛行機を1日早くしたんだ」
聖司「乗れよ」
聖司「あっ、ちょい待ち。それじゃ寒いぞ」
雫「あ・・・」
聖司「さあ、乗った」
雫「あたし、コートとってくる」
聖司「時間がないんだ。さあ乗って」
聖司「しっかりつかまってろ」
聖司「雫に早く会いたくてさ。何度も心の中で呼んだんだ!雫ーーーって!」
聖司「そしたらさぁ、本当に雫が顔出すんだもん。すごいよ、オレたち!!」
雫「・・・あたしも会いたかった・・・。まだ夢みたい・・・」
雫「クレモーナはどうだった?」
聖司「見ると聞くとは大違いさ。でもオレはやるよ」
聖司「わぁ、明るくなってきたな・・・」
雫「降りようか?」
聖司「大丈夫だ」
聖司「おまえを乗せて・・・坂道のぼるって・・・決めたんだ!」
雫「そんなのずるい!!」
雫「お荷物だけなんて、やだ!」
雫「あたしだって役に立ちたいんだから!」
聖司「わかった、たのむ!」
聖司「もう少しだ」
聖司「雫ーっ、早く乗れーっ!」
雫「う、うん」
聖司「間にあった・・・」
雫「わぁーーー・・・」
聖司「持とうか?」
雫「平気」
雫「すごーい、朝もやでまるで海みたい」
聖司「ここ、オレの秘密の場所なんだ。もうじきだぞ」
聖司「これを雫に見せたかったんだ」
聖司「おじいちゃんから雫のこと聞いてさ。オレ、何も応援しなかったから。自分のことばかり考えてて」
雫「ううん、聖司がいたからがんばれたの・・・」
雫「あたし、背伸びしてよかった。自分のこと、前より少しわかったから・・・」
雫「あたし、もっと勉強する。だから、高校へも行こうって決めたの」
聖司「雫、あのさ・・・」
雫「・・・・・!?」
聖司「オレ・・・、今すぐってわけにはいかないけど、」
聖司「オレと結婚してくれないか?」
雫「・・・・・!?」
聖司「オレ、きっと一人前のバイオリン作りになるから・・・」
聖司「そしたら・・・」
雫「うん・・・」
聖司「ほんとか!?」
雫「うれしい!そうなれたらいいなって思ってた」
聖司「そうかぁ!やったぁー!!」
雫「待って・・・、風冷たい」
雫「きゃっ」
聖司「雫!大好きだ!!」


その後、聖司が夢に敗れて引きこもりになったかは定かではない。
面白くない大人になったのかもしれない。






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